私は,会社を退職して独立したことにより,仕事で使う道具を自分で選択できるようになったわけですが,執務環境,マシン(PC,モバイル),アプリ等様々な道具の中で選択に腐心したものの1つが,PCのメールアプリです。会社では Outlook を使っていたのですが,微妙な操作性の点でずっと不満があったので,別のサービスやアプリをいろいろ試しました。アプリのインストールをできれば避けたかったので,Web メールの Gmail や Outlook.com なども試しましたが,ほんのちょっとだけ操作性が満足できませんでした。それで最終的に行き着いたのは,オープンソースの草分け的存在である Thunderbird でした。インストールは必要ですが,長い開発の歴史によってかなり洗練されており,満足なメール環境が手に入ったことで,日々快適に仕事ができています。
ところが,ここ1ヶ月ほど,数日に一度「文字化け」に襲われる現象が発生していました。作成したメールを下書き保存し,下書きを開くと文字化けするのです。再現性がない(何十回かに一回しか起こらない)ので原因がわからずストレスがたまっていましたが,試行錯誤していくうちに,文面の中に「1行の文字数が長い行」があると文字化けするらしいことがわかってきました。私は普段,半角60~70文字程度で改行を入れているので,ほとんどのメールではこの現象が起こらず,うっかりその改行を入れ忘れたり,引用されたメールの中に文字数の長い行が残っていたりした場合だけ,文字化けが起きていたようです。
ご存じの方も多いと思いますが,文字化けは文字コード種別(JISコード,シフトJISコード,EUC,Unicode 等)の判別誤りによって発生します。しかし,昨今のアプリは文字コードの自動判別機能がしっかりしているので,文字化けに遭遇することはめったにありません。ですから「Thunderbird 文字化け」とかで検索しても,今回の現象の解決策は見つかりませんでした。しかし,どうやら1行の文字数が怪しいということから「メール 文字化け 文字数」とかで検索したところ,原因がほぼ特定できました。
Thunderbird は,文字数の長い行に対して,一定の文字数ごとに改行を強制的に挿入する機能が標準設定されているのです(この機能は,画面表示上,長い行が折り返されているだけだと私は思っていました)。文字コード種別を誤認識している状況だと,改行の文字コードが予期せぬ場所に挿入されてしまい,元の文章と文字コードの解釈が変わってしまうことで文字化けが発生するのではないかと推察します。
原因がわかったので,対策としては文字数の長い行を作らないように,こまめに改行を入れればいいのですが,引用の部分などで文字数の長い行が残っているかもしれませんので,Thunderbird の強制改行機能を無効にすることが根本的な対策になります。自分への備忘録として,この機能を設定する方法を記しておきます。
< 操作手順: Thunderbird の強制改行機能無効化 >
- メニュー「オプション」 > 「オプション」でオプション設定画面を開く
- アイコン「詳細」 > ボタン「設定エディター」
- 下記の設定を下記のように変更する
・ mail.wrap_long_lines = false
・ mailnews.wraplength = 0
(mail.wrap_long_lines は無関係という説もあり)
ただ,意図的に改行を入れた場合,スマートフォンのように表示幅が狭い画面でメールを見ると見づらくなるという弊害もあります。例えば,
(表示例)
スマートフォンのように表示幅が狭い画面 (←画面上の折り返し)
でメールを見ると, (←改行)
画面上の折り返しが改行よりも早く来てし
という感じで,中途半端な場所で改行が入るので,見づらくなります。これを回避するためにも,「読みやすさのための改行」という本質的でない編集は,本来ならしない方がいいわけです。箇条書きのように見やすさを重視するときは別として,普通の文章は「読みやすさのための改行」を入れずに,段落を変えるまで改行を入れないという本来の書き方でもよいかもしれません。この点についても,今後試行錯誤していこうと思います。