以前のブログで「六本木心中」(アン・ルイス)は音域が狭いことを紹介しました。音域が狭い曲は,音域が広い曲に比べて歌いやすいので,カラオケで重宝します。そこで「こんなに音域が狭いとは意外だな」と私が思った曲を紹介いたします。


サウダージ / ポルノグラフィティ (音域DataBaseへのリンク

 ポルノグラフィティ は,世間的には歌うのが難しいアーティストとして認識されていると思います。歌詞が詰め込まれていて,早いリズムで多くの歌詞を歌うので,いわゆる譜割り(リズムに歌詞をきちんと乗せること)が難しいです。また,音程も高い印象があると思います。男性にとってはやや高く,むしろ女性の方がちょうどよいくらいの音程という印象を持たれているでしょう。確かに,低い音は少なめで高い音が多いですし,ボーカルがきらびやかな声質なので,音程が高いという印象を持たれやすいのですが,その印象は先入観に過ぎません。「サウダージ」と同じ最高音を持つ曲を見ると,特に高音の印象がないアーティストの曲が多くあることから,ポルノグラフィティ の音程が特別に高いものでないことがお分かりいただけると思います。

 音域幅 0:45 というのは,1オクターブより3音少なく,音域幅が最も狭い部類に入ります。曲の最後に転調しますが,転調しなければ音域幅は 0:40 でもっと狭くなります。音域の面だけ見ると,音程の高低差が少なく,とても歌いやすいということが言えるので,意外な感じがすると思います。ですが,実際に歌ってみると,音域に関しては高い・低いで戸惑うことはほぼないので不思議な感じがすると思います。音域面では歌いやすくても,上述したように譜割りはなかなか難しい曲なのですが,譜割りがずれたりするのは聞き手にとっては微笑ましく感じられて好印象になったりしますので,恥ずかしがらずにノリで歌うとけっこういい感じになる曲だと思います。


Chase the Chance / 安室奈美恵 (音域DataBaseへのリンク

 安室奈美恵 の中でこの曲が取り上げられることは少ないですが,彼女の曲の中では比較的歌いやすく,勢いとノリで歌えて,途中のラップもかっこよかったりするので,カラオケの観点は名曲と言っていいと思います。おまけに音域も狭いということで,実にカラオケ向きな曲になっています。

 狭い音域とはいえ割と高音を多用するので,音程が高いと感じる方はキーを -2 くらいで調整すると気分よく歌えると思います。安室奈美恵 なんてとても無理…と感じている方も,この曲を仕込んでおくと盛り上がること間違いなしだと思います。


Another Orion / 藤井フミヤ (音域DataBaseへのリンク

 上述の2曲はアップテンポでノリのいい曲ですので,最後はバラードを紹介します。藤井フミヤだと「TRUE LOVE」を歌う方が多いと思いますが,この曲は音程が広くて低いので,低音が出ない男性や女性にはけっこう難曲なんです。それと比べると,こちらの音域幅は 0:55 という,1オクターブより狭い音域なので,音域の面ではかなり歌いやすいです。また「TRUE LOVE」よりも曲の中で盛り上がる箇所が多く,歌う側は気持ちがいいので,総合的に見て「TRUE LOVE」よりお勧めな曲です。

 男性は原曲キーで大半の方が問題なく歌えると思います。男性で音域高めの方や女性で音域低めの方は,キーを原曲から +2 高くするとよいでしょう。女性で普通か音域高めな方は,キーを原曲から +5 するといい感じになると思います。女声が異性曲として歌うのにもお勧めできる曲です。


 以上 "意外と" 音域が狭い曲を3曲ご紹介しましたが,音域の広さが1オクターブに満たない曲は音域DataBaseに案外たくさん登録してありますので,高い音も低い音もあまり出ないという方は,これらの曲の中からレパートリーに入れる曲を見つけてみるとよいと思います。音域が狭いのが「意外だな」という曲もあれば「いかにも」「やっぱり」という曲もありますよ。