平昌五輪フィギュアスケート女子シングル。21(水)に行われたSP(Short Program,ショートプログラム)は,上位5選手がパーフェクトで自己ベストという,かつてないハイレベルな戦いになりました。その中に日本の2選手,宮原知子坂本花織 がいることは,とても嬉しいですね。

 ザギトワ,メドベージェワ の両ロシア選手は完全に実力が飛び抜けていますので,日本選手の現実的な目標は銅メダルとなります。ライバルは,SP3位の オズモンド 選手(カナダ)と,6位の コストナー 選手(イタリア)に絞られたと考えていいと思います。2選手が絶好調なら銅メダルは彼らの争いになりますが,今シーズン,彼らのFS(Free Skating,フリースケーティング)はジャンプが揃ったことがなく,スコアが130点台にとどまることも珍しくありません。五輪に照準を合わせてきているとは思いますが,逆に五輪だからこそごまかしがきかずに苦手な技でミスが出るのが平昌五輪の傾向であり,おそらくミスが出てしまうでしょう。特に,オズモンド 選手は,滑走順が ザギトワ 選手の直後なのでとてもやりづらいと思いますし,日本選手が良い演技だった場合,オズモンド 選手にはかなりの重圧がかかるので,ノーミスはなかなか難しいと思います。

 ですから,宮原,坂本 両選手がノーミスなら彼らより上位に行く可能性が高いです。両選手は最も重圧のかかる全日本選手権でノーミスの演技を魅せ,日本の2枠という世界一狭き門をくぐり抜けてきましたので,ノーミスの可能性は極めて高いです。よって,両選手が銅メダルを争うという,嬉しいやら辛いやらという展開になると思います。

 両選手の基礎点はほぼ同じなので,SPの点数差と演技構成点の差で,宮原 選手が優位に立っています。ノーミスの演技ができれば銅メダルを手にできる可能性はかなり高いと思います。宮原 選手は,ソチ五輪後の4年間ずっと世界トップレベルを維持した数少ない選手の1人ですので,五輪メダリストになってほしいと多くの関係者が願っていると思います。

 ただし,宮原 選手に1つでもミスが出れば,坂本 選手が上位に来る可能性も十分にあります。坂本 選手は,単なるノーミスでは 宮原 選手を超えるのは難しいですが,全てが完璧であれば,出来ばえ点が多く加算され,演技構成点も今までより高くなることが見込まれるので,逆転できると思います。団体戦FSでは今一つだったので,個人戦では完璧にしたい気持ちが強いと思うので,完成度の高い演技を魅せてくれることでしょう。

 以前のブログでも指摘したのですが,現行の採点方式で,五輪でSPとFS両方ともノーミスを達成した日本選手は,今まで1人もいません。トリノ五輪金メダルの 荒川静香 選手も,FSで3回転の予定が2回転になるジャンプが1つだけあったのです。宮原,坂本 両選手にはぜひ日本選手初のノーミスを達成して,メダルを手にしてほしいと願っています。

 さて,ザギトワ vs メドベージェワ 両選手による金メダル争いは,SPで既に ザギトワ 選手がリードするというまさかの展開。ザギトワ 選手のSPは,気持ちが前面に出ていて,メリハリも今までより格段に良くなっていたので,82 点台という歴代最高スコアを記録するのは当然という演技でした。FSも同じ程度の出来なら ザギトワ 選手の方がスコアが高いので,このまま ザギトワ 選手が金メダルを獲る可能性が高く,メドベージェワ 選手はかなり追い込まれました。

 ただ,メドベージェワ 選手が全てを完璧に入れ,感情が前面に出る演技ができれば,出来ばえ点と演技構成点が伸び,ザギトワ 選手を上回る可能性もあります。ヨーロッパ選手権では,今までにないような,感情が表に出る演技が観られたので,それが再現できれば勝負の行方はもつれそうです。ザギトワ,メドベージェワ 両選手とも,少しの傷も許されない,究極の演技合戦になることは間違いなく,トータルスコアが 245 点に届く可能性さえあるかなと思います。

 平昌五輪のフィギュアスケートの1位と2位は,奇しくも「後輩が先輩を立てる」法則が成り立っています。男子シングルは日本勢の先輩である 羽生結弦 が,アイスダンスは同門生の先輩である ヴァーチュー & モイヤー 組(カナダ)が金メダルを獲りました。この法則に則れば,メドベージェワ 選手が優勝なんですが,女子シングルはその法則が崩れ,ザギトワ 選手が金メダルを手にする可能性が高い状況です。果たしてどうなるでしょうか?