bayfm のラジオ番組「9の音粋水曜日の「○○への道」というコーナーの選曲(セットリスト)を勝手に考えるシリーズ。今週 10/7(水) の放送は,大黒摩季 さんの「ら・ら・ら」への道です。

 選曲を考えるための材料は,以下のようなものがあります。(以下,登場人物敬称略)

● 大黒摩季 はいわゆる「ビーイング」系。コーラス参加や楽曲提供など,ビーイングのアーティストとの共演が多い。

女性パワフル系ボーカルの系譜をたどるのも興味深いです。バンドではないソロのシンガーで,パワフル系ボーカルの女性というのは案外少ないのです。

● この曲が発売された1995年はCDが最も売れた年と言われ,この年のヒット曲には傑作が多いんです。

● 大黒摩季 もご多分に漏れず他者の曲のカバーアルバムを制作しています。カバーの原曲を取り上げるのも面白そうです。

 さて,これらの材料を基に,セットリストを組んでみたいと思います。前回同様,《Talk》 は流れがわかる情報に絞ります。


《Title Call》 大黒摩季ら・ら・ら」 への道!

① 「翼の折れたエンジェル中村あゆみ

《Talk》 大黒摩季 と同じ系統の女性パワフル系ボーカルで,'80年代にヒットしたのが 中村あゆみ。ハスキーな歌声も 大黒摩季 に通じるものがあります。この曲は,大黒摩季 がカバーアルバムで歌っています。

 女性パワフル系ボーカルで'80年代を牽引したもう一人が 渡辺美里。今日は,後に SPEED をプロデュースした 伊秩弘将 が作曲した,パワー全開のこの曲。

② 「IT'S TOUGH渡辺美里

③ 「久宝留理子

《Talk》 3曲目は,大黒摩季 と同じ時期にヒットを連発した,'90年代前半の女性パワフル系ボーカルと言えばこの人,久宝留理子 の代表曲。

 次の曲は,彼らに続いて'90年代中盤~後半の女性パワフル系ボーカルとして大成功した 相川七瀬 のデビュー曲。

④ 「夢見る少女じゃいられない相川七瀬

《Talk》 CM明けは,相川七瀬 をプロデュースした,ビーイングを代表する作曲家が登場。

----- CM -----

⑤ 「憂鬱(じょうねつ)は眠らない大黒摩季 & 織田哲郎

《Talk》 大黒摩季 をはじめ ZARD や WANDS などのビーイングアーティストを中心に,膨大な数の作曲を手がけた 織田哲郎 が 大黒摩季 とデュエットしたこの曲。J-POP のデュエット曲の中でも格好良さが際立つ一曲。

 ではここからは,ビーイングから生まれたメガヒット曲の中から,大黒摩季 がコーラスとして参加した2曲を聞きましょう。大黒摩季 のコーラスがどこに入っているかを探しながら聞くのも楽しいと思います。

⑥ 「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけないB'z

⑦ 「負けないでZARD

《Talk》 2曲とも1993年のヒット曲。1992年に「DA・KA・RA」が大ヒットし,メジャーアーティストの道を歩み始めても,コーラス参加は続けていた 大黒摩季。ビーイングのメガヒットを見事にサポートしました。

 ではオーラス。ビーイングで将来を期待されながら,コーラス参加は多いもののデビューでは 坂井泉水(ZARD) に先を越されるなど下積みも経験。しかし,デビューすると2曲目の「DA・KA・RA」がミリオンセラーとなり,女性アーティストでは 坂井泉水 と共にビーイングを牽引する存在に。ビーイングのアーティストの多くが1993年にピークを迎える中,大黒摩季 は1995年に自身最大のヒット曲に巡り合いました。他の曲と違い語りかけるような楽曲ですが,強いだけでなく包み込むボーカルが見事にハマり,ライブの定番曲となっています。病気を乗り越え,今も,そしてこれからも,元気な歌声を届けてくれることでしょう。

⑧ 「ら・ら・ら大黒摩季


 選に漏れた曲。女性パワフル系ボーカルの系譜では,麻倉未稀アン・ルイス。麻倉未稀 の「ヒーロー」は 大黒摩季 がカバーしています。それから,大黒摩季 が作詞した曲では「イエ~ィ!!☆夏休み」 DISH// を入れたかった。DISH// は 北村匠海 が俳優として活躍し注目されていますからね。他には「ら・ら・ら」と同時期にヒットした女性ボーカルの曲として,

  • 「OVERNIGHT SENSATION」 trf
  • 「サンキュ.」 DREAMS COME TRUE
  • 「TRY ME」 安室奈美恵 with SUPER MONKEYS

なども選曲の候補になりました。今回は「女性パワフル系ボーカル」と「ビーイング」という2つのテーマで曲が埋まってしまい,これらが選外となりました。その割には,ビーイング枠の選曲がベタ過ぎるかな,という反省もあります。ビーイングの曲をもっと増やして,ビーイング中心の構成にする手もあったかもしれません。

 私のセットリストの中で,強引に入れたのが「憂鬱は眠らない」。この曲は,大黒摩季 のパワフルボーカルと,織田哲郎 のロックブルース系のボーカルがぶつかり合うんです。デュエット曲というのは普通,声を溶け合わせるものですが,ぶつかり合うデュエット曲という点がまず面白いです。また,女声メイン・男声ハモリのデュエット曲が主流な中,織田哲郎 がメイン,大黒摩季 がハモリというのも特徴的です。とにかくかっこいい作品で,J-POP デュエットの中で異彩を放つ一曲なので,ぜひ多くの方に聞いて,そして歌ってもらいたいです(私はこの曲をきちんと歌える人にまだ出会ったことがありません)。

 大黒摩季 と言えば「DA・KA・RA」「夏が来る」「熱くなれ」のような強いボーカルが印象的であり,「ら・ら・ら」が代表曲というのは個人的には意外だと感じますが,現実には彼女最大のヒット曲になりました。実はこの現象はありがちで,例えば 木村カエラ の最大のヒット曲は「Butterfly」ですが,これは 木村カエラ が得意とするブリティッシュロック系ではありませんよね。とはいえ,最大のヒット曲になるということは,それがアーティストにフィットしていると世間に認められているわけで,大黒摩季 の場合は強いボーカル・強い歌詞だと圧倒されて重たく感じる人もいる一方で,「ら・ら・ら」は応援系の歌詞なので,少し抑えめながら芯のある歌声に好感を持った人が多かったのかもしれません。

 さて,実際の放送ではどんな流れになるか,DJの 藤田太郎 さんが構成するセットリストを楽しみにしています。