マイクを持てば酔っぱらい

~カラオケをこよなく愛するITシステムエンジニアのブログ~

2015年10月

点数低すぎ?無効点(0点)の謎

 スケートカナダで,予想以上に点数が低く「おやっ?」と思いながら観戦した方もいたことと思います。特に 羽生結弦 選手のショートプログラム(SP)の73点台は,彼の実力からすれば考えられないほど低い点数です。ところが,なぜこのような点数になったのか,テレビ放送ではほとんど説明してくれませんでした。

 フィギュアスケートでは,ジャンプやスピンなど技の1つ1つに難易度や出来栄えに応じた点数が付けられ,その合計が技術点(Technical Element Score)になります。ところが,せっかくジャンプを飛んだのに,その点数が0点になってしまうことが時々起こります。これは「ジャンプはこういう種類を何回まで飛んでよい」という規定があり,それに違反した場合,そのジャンプが飛ばなかったことになってしまうというものです。

 例えば,ショートプログラムでは「アクセルジャンプではない単独ジャンプは3回転でなければならない(男子は4回転も可)」という規定があります。スケートカナダで 羽生 選手は,4回転トウループジャンプの予定が2回転になってしまいましたので,このジャンプは0点となったわけです。今までは,このように失敗した場合でも実施したジャンプの点数は加算されていて,2回転トウループは4回転よりずっと点数が低いですが,わずかでも点数が加算されていたわけです。しかし,今シーズンは規定違反のジャンプは(実施ジャンプの点数を加算せず)0点という規定になったらしく,羽生 選手は2回転トウループジャンプの点数も入らずに0点扱いになったというわけです。

 ほかに,ショートプログラムでは「同じ種類のジャンプを2回以上飛んではいけない」という規定もあります。当然,選手はこの規定を理解した上でジャンプの構成を決めますので,ジャンプが予定どおりできればまずこの規定に触れることはありません。この規定に触れるのは,やはり失敗した場合です。スケートカナダの 羽生 選手は,最後のコンビネーションジャンプが 3回転ルッツ+3回転トウループ の予定でしたが,2回目のジャンプが不完全で,結局 3回転ルッツ+2回転トウループ になってしまいました。その前のジャンプで4回転が失敗して2回転トウループになっていたので,2回転トウループが2回目になり,このコンビネーションジャンプも0点となってしまいました。

 私は当初,3回転+2回転のコンビネーションジャンプが規定違反なのかと勘違いしていましたが,そうではないようです。羽生 選手の場合,同じジャンプを2回飛ぶという規定違反が適用されてしまったとのことです。同じジャンプを何度も飛べない(ショートプログラムは2回以上NG,フリースケーティング(FS)は3回以上ほぼNG)という規定は,ソチ五輪でフェルナンデス選手(ESP)も引っかかってしまった不運がありましたが,得意ジャンプを固められてしまうことを避ける意味では,まぁわからないではない規定だと思います。

 問題は最初の例で説明した「規定違反のジャンプは(実施ジャンプの点数を加算せず)0点」という規定の方です。これがあることで,今まで以上に点数が低く抑えられるケースが出てくると思います。例えば,3回転ルッツが2回転になる,コンビネーションジャンプの2つ目のジャンプが1回転になる,というような失敗をすると,得点源のジャンプが0点になってしまい,これまでより2~3点低い点数になることもあり得ます。これが今シーズンの大会にどう影響してくるか,注目して観ていきたいと思います。

 詳細な採点規定は,下記サイトで細かく説明してくださっています。私も勉強させていただきました。深謝。

◎フィギュアスケート ショートプログラムのジャンプのルール Invalid elementとは
http://kokolog.net/2804.html

◎フィギュアスケート研究所 ルール解説
http://tororinnao.info/04rule/00top.html

宇野昌磨に刮目せよ!

ShomaUno フィギュアスケートの 2015-16 シーズンが始まろうとしています。五輪と五輪のちょうど間の年なので少し中だるみ感が出てしまいがちなシーズンですが,今年は 浅田真央 選手やパトリック・チャン選手(CAN)の復帰など注目の話題が多く,今までの中間シーズンよりは楽しめそうな雰囲気があります。

 そんな中でも,今シーズンの目玉になりそうなのが 宇野昌磨 選手です。10月に行われたジャパンオープン。フリースケーティングの4分半の演技の中に4回転ジャンプを2回入れ,そのうち1回は後半に入れる構成。しかし,後半に入って最初のジャンプが3回転,次も3回転。4回転を後半に入れる場合,後半の最初に飛ぶのが普通なのに,どういうことなんだ??と不思議な気持ちで演技に観入る。「トゥーランドット」の雄大なボーカルが流れ始め,曲のクライマックスを迎えたそのとき,4回転+2回転のコンビネーションジャンプが鮮やかに決まった! このタイミングで4回転飛ぶ!?という驚きも束の間,残りの2つのジャンプも決まり,すべてのジャンプが成功。宇野 選手のスピンが曲の壮大なラストに重なり,会場は演技終了を待ち切れず拍手。演技が終わると拍手と歓声が大波となって会場を包む。ジャンプだけでなく,演技の一連の流れが素晴らしい。すごい,このプログラムすごすぎる…観終わってしばらく鳥肌が立ったままでした。そして,点数が出た瞬間,再び鳥肌が。185点。いきなり世界トップクラスの点数。演技の感動がちゃんと点数に表れていました。

 宇野 選手は,昨年の全日本選手権で2位に入っており,フィギュアスケート界ではもう知られた存在です。ただ,昨年まではジュニアに参戦しており,今年からいよいよシニアに参戦するということで,世間一般の知名度はまだまだだと思います。ジュニアではグランプリファイナルと世界選手権の2冠を制し,既にシニアでも十分通用する力を持っているのですが,ジュニアよりも演技時間が伸びる,ジュニアよりはるかに観客が多く緊張感もすごい,といった要因によりシニアはレベルが格段に上がるため,宇野 選手と言えども,今シーズンはシニアの試合に慣れることで精一杯でも仕方ないところです。

 ところが 宇野 選手のプログラムは,一気に世界トップを取れる可能性を秘めたものであることが,このジャパンオープンによって明らかになったのです。後半の4回転ジャンプを,後半の最初ではなく途中に持ってくるプログラムは,今まで見たことがありません。4回転ジャンプを後にすればするほど,当然失敗のリスクが高まりますので,そんな構成は普通ではありえないのです。しかしこのプログラムでは,後半の4回転ジャンプのタイミングがここしかないと思えるほど素晴らしい構成なのです。「トゥーランドット」はフィギュアスケートでは定番の曲で,荒川静香 選手がトリノ五輪で金メダルを獲得したときフリースケーティングで使った曲としてもおなじみです。宇野 選手のプログラムでは後半の途中からボーカルが入ってくるのですが,それを聞くと「あ~この曲か」とわかると思います。そしてこのボーカルが入って曲が盛り上がってくるのに合わせて4回転ジャンプが入るのです。このタイミングが本当に絶妙で最高です。この「やっと飛んだ後半の4回転ジャンプ」が 宇野 選手のプログラムの大きな特徴です。もちろん,それ以外にも,全体の流れの素晴らしさや表現力など,17歳とは思えない一流のスケーティングを堪能できます。

 シニア最初のシーズンで,グランプリシリーズ初戦のスケートアメリカからいきなり 宇野 選手のこのプログラムを観ることができます。ジャパンオープンは,野球でいえばオープン戦なので,この週末に行われるスケートアメリカからが本当の勝負です。ここでどんな演技を魅せてくれるのか,どんなスコアが出るのか,本当に楽しみです。もし,この試合でもジャパンオープン同様の演技ができれば,宇野 選手はシニアに慣れるとかのレベルではなく一気に 羽生結弦 選手と戦えるレベルに到達します。そうなれば,宇野 選手と 羽生 選手が競い合って,今シーズンお互いのレベルがどんどん上がっていくことが期待できます。グランプリファイナルや全日本選手権は,いよいよ合計300点を目撃することになるかもしれません。ぜひぜひ今シーズンは,宇野昌磨 選手の「トゥーランドット」に注目してほしいと思います。

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