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2017/04

宇野昌磨 の世界選手権銀メダルのとてつもない価値

UnoShoma2017World フィギュアスケート世界選手権シングル男子は,羽生結弦 選手の劇的な優勝が話題の中心ですが,羽生 選手にあと一歩のところまで迫り銀メダルを獲ったのは,羽生 選手の同門生にして世界選手権3連覇を狙った ハビエル・フェルナンデス 選手(ESP)でも,安定した4種類の4回転ジャンプで 羽生 選手を四大陸選手権で破った ネイサン・チェン 選手(USA)でもなく,我らが日本の 宇野昌磨 選手でした。宇野 選手は今シーズン,本当にすごいことをやってのけたのですが,報道での扱いが小さいのが許せないので,ここでいろんな角度から取り上げたいと思います。

 世界選手権の演技がとても安定していました。ショートプログラム(SP: Short Program)が 104.86 点で2位,フリースケーティング(FS: Free Skating)も 214.45 点で2位,合計点 319.31 点も2位。FSの 210 点台達成は 羽生,フェルナンデス 両選手に続く3人目,合計の 319 点台は フェルナンデス 選手を超え,この上は 羽生 選手しかいません。SPとFS合わせて「転倒なく着氷した4回転ジャンプが6本」で「演技構成点(PCS: Program Component Score)が満点の90%(SP:45点,FS:90点)を超える」,この2つを今大会で同時に達成したのは 宇野 選手だけであり,技術面と芸術面の両方が極めて高いレベルで両立していたことを示す結果でした。FSの 3Lz(トリプルルッツジャンプ)で着氷の乱れがなければ,初めて 羽生 選手に勝って優勝していたという点ではもったいなかったですが,あと一歩のところまで追いつめた2位というのは,宇野 選手にとって,そして 羽生 選手にとっても,最高の結果だったと言っていいでしょう。羽生 選手を立てつつ,悔しさと満足感が両立するというあたりが 宇野 選手らしい結果だなと思います。

 好成績を残した1つの要因に,尋常でないメンタルの強さがあります。フィギュアスケーターは,自分の演技を行うまで音楽を聞いたりして自分の世界に入り込み,他人の演技を見ないものなのですが,宇野 選手は違います。今回の世界選手権では,以下のようなコメントを残しています。

「他の選手の演技を見ないようにしようとかではなくて、逆に見たいんです。それが自分の演技に影響するとは思わないし、うまい選手の演技は見たいと思うじゃないですか」

 これは,自分への自信に加え,自分や大会の雰囲気を客観視できているんだと思います。この境地に達するのは並大抵ではなく,弱冠19歳にしてこのメンタルコントロールを体得しているとは驚かされます。

 メンタルだけでなくフィジカルもすごくて,世界選手権に至る 宇野 選手の今シーズンの出場大会の多さは特筆すべきものがあります。グランプリシリーズ2戦,グランプリファイナル,全日本選手権,四大陸選手権,世界選手権と,出るべき主要大会に全て出場しているのに加え,四大陸選手権の翌週にアジア大会に出場,さらにグランプリシリーズの前と,アジア大会と世界選手権の間にも公式試合に出場しました。これら9大会全て表彰台に乗っているのがすごい! さらに,再来週には国別対抗戦がありますので,今シーズンはなんと10試合に出場するのです! 国別対抗戦の出場が発表されたとき,日本スケート連盟は(女子の枠取りの件と同様に)何も考えてないんだなと愕然としましたが,宇野 選手本人がそこはしっかり考えていると思うので,とにかくケガなく乗り切ってほしいと切望しています。

 四大陸選手権は,例年なら出場しない選手も多いのですが,今年は平昌五輪の会場で開催され,五輪のリンクを経験する点で重要度の高い大会でした。にもかかわらず,翌週のアジア大会にまで出場させられてしまったのは,アジア大会に全日本選手権の優勝者を出場させるという,日本スケート連盟と大会主催者との間で取り決めがあったかららしいのですが,アジア大会も少しミスはあったもののきちんと優勝して,開催国のメンツを保つことにも貢献しました。全日本選手権の優勝も,羽生 選手のインフルエンザ罹患による欠場によってお鉢が回ってきたものでしたが,宇野 選手の実力なら優勝して当然というプレッシャーと戦ったのは貴重な経験でした。このような過密日程を乗り越え,世界選手権で自己最高得点を30点も上乗せするという,驚異的な結果を残したのは本当に素晴らしかったです。世界選手権にピークを持ってくるだけでもすごいことなんですが,連戦を乗り越えての演技の出来栄えと高得点は,宇野 選手の並々ならぬ努力に対するスケートの神様からのご褒美のように感じました。

 そしてそして,さらに今シーズンがすごいのは,シーズン途中に新たな4回転ジャンプをプログラムに組み込んだことです。宇野 選手のFSの4回転ジャンプは,4F,4Lo,4T の3種類ですが,4Lo(4回転ループジャンプ)を入れたのは2月の四大陸選手権からです。もっと言えば,今では 宇野 選手の切り札になっている 4F(4回転フリップジャンプ)も,プログラムに組み込んだのは実質的には今シーズンから(正確には昨シーズン最終戦から)です。つまり,昨年の世界選手権と比べて,4回転ジャンプを2種類増やすという,とんでもないことをやってのけています。当初,今シーズンは 4F,4T の2種類を固めるつもりだったと思いますが,4回転ジャンプを4種類飛ぶ ネイサン・チェン 選手(USA)の出現が,宇野 選手に 4Lo の導入を急がせたのだと思います。

 シーズン途中の新ジャンプ導入は,ほとんど前例がありません。普通は,1年間同じプログラムを滑り熟成させていきますので,ジャンプの変更や順序組み換えでさえリスクが高くめったに行われないのです。シーズン途中で新しいジャンプ(しかも習得したての 4Lo)をプログラムに組み込むことは,ハイリスク・ハイリターンでありかなりの覚悟があったと思います。その勇気と技術が,世界選手権という大舞台でハイリターンを呼び込んだのでしょう。

 ネイサン・チェン 選手がシニアデビュー年でスタートダッシュを見せ,グランプリファイナルで 宇野 選手の3位を上回る2位に入ったときは,内心穏やかではなかったでしょう。四大陸選手権でも チェン 選手の後塵を拝しましたが,それでも慌てずに世界選手権で結果を残せたのは,昨年の世界選手権で満足いく演技ができずに悔しい思いをし,同じ轍は踏まないという強い気持ちを1シーズンずっと持ち続け,今年の世界選手権に照準を合わせていたからです。言うは易しですが,ここまで述べたような,あり得ないレベルの連戦,五輪プレシーズン,今年こそはというプレッシャーの中で,大会に出場し続けながら世界選手権にピークを持ってきて,実際に銀メダルを獲得したわけです。これだけの厳しいスケジュールやプレッシャーを乗り越えたことを思うと,今シーズンの最後についにつかみとった銀メダルには本当に感動しました。今後私は,今まで以上に 宇野 選手を応援しようと心に決めました。

 世界選手権での日本男子の1-2フィニッシュは,2014年の 羽生 & 町田 両選手以来ですが,2014年は五輪直後で有力選手が欠場する中での結果だったことを考えると,今回の 羽生 & 宇野 両選手の金&銀メダルには,計り知れない価値があります。例えて言うなら,今までは,マラソンの先頭を風を一身に受けて走る 羽生 選手を風よけにして,宇野 選手が追走してきた感じでしたが,今後はWエースとして2人で並走していくことになるでしょう。もう 宇野 選手に風よけは要りませんし,羽生 選手も並走する日本選手がいることで,気持ちに余裕が生まれると思いますので,2人で高め合いながら平昌五輪を迎えられそうです。

 このように,宇野 選手が世界選手権で銀メダルを獲ったことは,報じられているよりもはるかに大きなインパクトがあったと私は考えています。本人には強い自信が生まれ,周囲には強烈なアピールになったはずで,スケーターが 羽生 選手に抱く敬意と同じように「宇野 選手には負けてもしょうがない」と思わせる雰囲気が出てきたのではないかと感じます。平昌五輪の話は気が早いですが,宇野 選手は,フェルナンデス,チェン 両選手と銀メダルを争う構図になると私は予想していて,しかも2人より半歩リードし金メダルをも狙える位置にいると思います。ケガやスランプがなければ表彰台はほぼ確実で,五輪での日本男子1-2フィニッシュという大偉業の達成も十分ありうると思います。今から来シーズンが本当に楽しみになってきました。すごいことが起きる予感でワクワクしています。

五輪2連覇ほぼ手中にした 羽生結弦

spnvLogo 本記事をベースに微細な変更を加え,スポナビブログ(2018年1月末閉鎖)に掲載しました。


HanyuYuzuru2017World 世界選手権で3年ぶり2回目の優勝を飾った 羽生結弦 選手。世界選手権2回優勝表彰台5回目4年連続,いずれも日本男子史上初の快挙です。今回の世界選手権を勝つことの重要性を以前述べましたが,本当に勝てたこと,そしてその勝ち方や他の選手の内容を考えると,ケガや極度のスランプさえなければ,五輪連覇確実と私は今から断言したいと思います。

 ショートプログラム(SP: Short Program)で ハビエル・フェルナンデス 選手(ESP)に完璧な演技を披露され,10点以上の差がついてしまったことにより,フリースケーティング(FS: Free Skating)が完璧でも逆転できるとは限らないという状況になりました。「完璧な演技をしたい」「優勝したい」「過去の自分を超えたい」という気持ちは,SPがもう少し良ければ邪念になるところでしたが,点差がついたことで「絶対に完璧に」という強い気持ちと「結果は後から付いてくる」という達観が生まれたと思います。こうなったときの 羽生 選手は本当に強い。そして,本当に完璧に演技し,FSの史上最高得点を出して過去の自分を超えるという結果が付いてくるところが 羽生 選手の凄みです。

 過去2年,世界選手権で勝ち切れないという経験をしてきましたが,五輪プレシーズンという大事な年にピーキングに成功しました。さらに,これがSPビハインドからの大逆転。今まではSPもFSも完璧に…という意識が強すぎて自滅していた感もあったのですが,これでSPが完璧でなくてもなんとかなる,という意識になれば,SPに余裕が出てきて結局SPもうまくいくという好循環が生まれると思います。これが世界選手権で遂行できたことは,結果の面でも経験の面でも,優勝数回分に相当する大きな意味を持つと思います。これが,五輪連覇確実と私が現時点で言い切る理由です。

 他の選手はどうかというと,完璧なSPを披露しやはり真の敵かと思われた ハビエル・フェルナンデス 選手はFSで崩れ,コンディションが上がり切らないままだった今シーズンを象徴する結果になってしまいました。世界選手権3連覇と五輪プレシーズンのプレッシャーは,彼には無縁かと思いきやそんなことはなかったですね。SPが完璧だったことが,かえってFSを難しくしたのかもしれません。五輪に向けて再度ギアを上げてくるとは思いますが「やはり五輪は自分ではなく 羽生 選手のものなのか」と今回感じたとしたら,もう五輪の波に飲まれており,羽生 との優勝争いではなく,宇野昌磨,ネイサン・チェン(USA)両選手との表彰台争いに巻き込まれることになりそうです。

 ネイサン・チェン 選手はジュニアからシニアに上がったばかりなので,シーズン序盤からスタートダッシュする必要がありました。グランプリシリーズ,グランプリファイナル,米国選手権までずっと全力で進んできたと思いますし,米国選手権がピークだったでしょう。四大陸選手権は余力で優勝できましたが,年間を通したスタミナが切れたところで世界選手権を迎えてしまったのでしょう。あれだけ転倒する チェン 選手を観たのは久々で,やはり チェン 選手も人の子だったんだと,むしろちょっと安心しました。これで,今までの過大評価はいったん収まると思いますが,この経験を来シーズンのピーキングに活かすと思いますので,平昌五輪の表彰台候補であることは全く揺らぎません。昨年の世界選手権でスタミナ切れを経験した 宇野 選手が今シーズンこれだけ飛躍したのですから,チェン 選手も平昌五輪では素晴らしい戦いをしてくれると思います。

 個人的に嬉しかったのは,ボーヤン・ジン 選手(金博洋,CHN)の復活でした。今シーズンなかなか調子が上がらず,同じ立ち位置を チェン 選手に取って代わられた感もあったので,表彰台争いを私は予想できませんでした。世界選手権に見事に照準を合わせた素晴らしい内容で,シーズンの不調をここで覆すというのは技術もメンタルも一級品である証です。ライバルの脱落があったとはいえ,2年連続の銅メダルという結果も得るあたり,運も持ち合わせていてなかなか面白い存在になってきました。昨シーズンはシニアデビューで世界選手権まで好調を維持し続け,今季はシーズン中の不調を世界選手権で払しょくするという,2シーズンで異なる経験を得たのは ジン 選手にとってとても大きいと思います。4Lz(4回転ルッツジャンプ)の美しさは世界一であり,これをFSで2回飛ぶ構成にしたら平昌五輪でも表彰台争いに加わってくることになると思います。

 以上で紹介した3人は,羽生 選手とは一歩(水泳なら身体1つ分,競馬なら1馬身のイメージ)差が空いている感じがあり,真の強敵宇野昌磨 選手になるでしょう。宇野 選手に関しては,独立した1本のブログ記事を書かなければ申し訳ないくらいに,今シーズンはフル回転の大活躍でした。宇野 選手がここまで上がってきたことで,羽生 選手にも気持ちの余裕を与えることになるでしょう。なぜなら,シングル男子がハイレベルな戦いを続ける中で,自国の選手が同じレベルでいてくれることは,お互いにとても心強いことだと思うからです。羽生 選手が五輪連覇するにせよ阻止されるにせよ,宇野 選手がその鍵を握ることになりそうです。

 今回の世界選手権の勝ち方は,改めて 羽生 選手の技術とメンタルの強さを示すものになりました。あとは,羽生 選手にケガと慢心さえなければ,五輪連覇の偉業達成を目の当たりにすることになりそうです。

フィギュアスケートシングル女子五輪2枠にもの申す!

 世界選手権の成績により,平昌五輪フィギュアスケートシングル女子の日本の出場枠が2名になったことは,関係者にとっては本当に無念で悔しい結果だったと思います。1ファンである私の思いは,単純に2人しか観ることができないことがとても残念ですし,五輪出場者選考の過酷さを思うと,観るだけの側なのに胸がヒリヒリとしてきます。

 ところが,マスコミやスポーツライターの論調は「選手はよくやった」「日本のレベルが低下」「2枠でかえってレベルが上がる」など,全く論点が外れたものばかり。スポーツの競技性や勝敗の機微といった側面はほとんど報道せず,選手のアイドル性や薄っぺらいドラマ性に終始する有様。こういった馴れ合いと,競技者・指導者に丸投げの体質が,日本がこれだけ豊富な人財を擁しながら,五輪出場枠2枠という失態を招いた,ということを関係者は認識しているのでしょうか? 本記事では,強い言葉で今回の事態の問題点を指摘いたします。

MiharaMai このような状況でも,選手が頑張ったことは言うまでもありません。特に,三原舞依 選手の健闘は本当に称えられるべきです。単なるノーミスというレベルではなく完成度が伴った演技で,技術点(TES: Technical Element Score)は メドベージェワ 選手(RUS)を除けばトップの点数をたたき出したのです。三原 本人の談話のとおり,ソチ五輪の 浅田真央 選手の伝説のフリースケーティング(FS: Free Skating)を彷彿とさせるものでした。ショートプログラム(SP: Short Program)のときには,今までに感じたことのない緊張感が襲ったようですが,最低限の減点に留め,FS で完全に払しょくするあたり,三原 選手のメンタルと技術の高さには本当に感動しました。深夜,リアルタイムで応援していた人たちは,三原 選手の素晴らしい演技に感涙し,197点まで伸ばしたのを見て,もしかしたら3枠獲れるかもしれない,と期待感を抱いたのではないでしょうか?

 当然 樋口新葉 選手の演技に注目が集まりました。樋口 選手に枠取りの重圧を与えることは酷だとは思うのですが,それに応えられるだけの十分な実力を持っているからこそ,皆さんも期待したと思います。「順位が3つ届かなかった」という表面的な報道がされていますが,結果から見るととても僅差でした。演技の後半最初の 3Lz+3T の失敗(= 2Lz 単独になってしまった)さえなければ,もしくはこの失敗があっても,最後にリカバーのために挑んだ 2A+3T のセカンドジャンプが普通に飛べていれば8位に入り3枠を確保できたのです。つまり,三原 選手のベストパフォーマンスと他選手の停滞によって(私の直前分析よりもさらに条件が緩和され)完璧なパフォーマンスでなくても,1ミスに抑えればいいという状況だっただけに,本当にもったいなかったです。勝負事は僅差で決まるというスポーツの鉄則はここにも当てはまりました。ミス1つの差という結果に,樋口 陣営は重い重い責任を感じているかもしれません。私は,樋口新葉 選手に期待と不安を抱いていた1人として,彼女が負ってしまったであろうダメージがとても気がかりです。1人の有望選手がつぶれてしまうきっかけになりはしないかと案じています。

 三原・樋口 両選手(むろん 本郷理華 選手も)をこのような重圧にさらし,結果として3枠を逃す大失態を犯した日本スケート連盟に対して,私は強烈な失望と怒りを禁じ得ません。マスコミは「日本の総力やレベルの低下」のように報じ,小林芳子・日本スケート連盟フィギュア強化部長は「残念ながら世界についていけていない」「(出場者選考が)今まで以上にし烈になる。かえっていい選手が出てきてくれればいい」とまるで評論家のようなコメントを発しています。何でしょうか,このコメントは…。関係者各位の当事者意識があまりに欠落していて,嘆かわしい限りです。

 マスコミ報道の中にもひどいものがありました。三原 選手が SP でミスしたことを,実力不足,ひいては2枠の遠因かのように書いている記事を見て,私は怒り心頭に発しました。三原 選手が仮に SP もノーミスだった場合,総合4位になり 樋口 選手が9位でも3枠確保でしたが,8位と9位のスコアの差はわずか0.2点しかなく,三原 選手が4位か5位かは枠取りにほとんど影響がなかったのです。なのに,あれだけ素晴らしい FS を演じた 三原 選手に対して SP のミスをあげつらい的外れな指摘をするとは,選手に対するリスペクトが全く感じられない記事でした。マスコミがこの程度だから日本スケート連盟がだらしないままなのだ,と感じざるを得ないですね。

 かつて,浅田真央,安藤美姫,鈴木明子,村上佳菜子 ら各選手が活躍し,当然のように3枠を獲っていた頃と比べれば戦力ダウンしていることは事実ですが,今までが異常に強力だっただけで,現在でもロシアに次ぐ戦力があり,他国から羨望される人財を擁していることもまた事実です。宮原知子 選手の欠場が3枠喪失の大きな要因となってしまいましたが,国のトップスケーターが欠場すれば3枠が危ないのはどの国も同じであり,レベル低下など全く筋違いの論評です。今までの強力布陣の時代にあぐらをかき,状況の変化に対する対応が欠如し,トップスケーターである 宮原 選手のコンディション整備を怠った日本スケート連盟の怠慢が,3枠喪失の最大の原因です。このことをきちんと指摘するマスコミやライターが見当たらないように思うのは私だけでしょうか?

 2月の四大陸選手権アジア大会が2週連続開催にもかかわらず,その両方に全日本選手権の優勝者を出場させるという話が出たとき,今回の最悪な結末を予感した方も多かったのではないでしょうか。アジア大会に有名選手を出場させることは開催国である日本の責務だったとはいえ,四大陸選手権が五輪会場で開催されるという今年の重要性と,五輪プレシーズンの世界選手権が控えている状況を考えれば,日本スケート連盟はアジア大会主催者側と本気で打開策を考えるべきでした。どこまでこの件が話し合われたのかに関して私は把握していませんが,打開策が何もなかったのは事実です。この過密スケジュールと 宮原 選手のケガが無関係なはずがありません。結局,宮原 選手は「五輪会場の経験」「アジア大会の盛り上げ」「世界選手権の2年ぶりのメダル獲得」「五輪3枠の維持」これらを何一つ果たすことができませんでした。宮原 陣営も後悔と責任を強く感じていることでしょう。

 「3枠でも2枠でも出場選手の成績が良ければよし」とか「3人が出場すればメダルを獲る可能性が上がる」といった考えの方もいるようですが,枠取りはもっとスポーツの普遍的な側面で考える必要があると思います。

  • 何よりもまず,五輪や世界選手権は1人でも多くの選手が経験すべき大舞台です。
  • 同じ国でも様々なタイプの選手が演技を披露することで,フィギュアスケートの多様性や面白さが世間に伝わり,フィギュアスケートの普及や発展を促すと思うのです。
  • そして,最大の問題は2枠と3枠では選手への負担が格段に変わることです。選考の過酷さが全く違いますし,五輪本番でのプレッシャーの共有という点でも3人より2人の方がはるかに厳しいと思います。

 人財が乏しく2枠でやむを得ないという状況ならともかく,現在の日本が2枠でよい理由などどこにもありません。世界が注目する五輪の場において,素晴らしい日本女子スケーターを2人しかお披露目できないのが,本当に悔しいです。メダルを獲れないことよりも,出場枠が狭まることの方がずっとずっと辛く悔しいことだと思うのですが,3枠喪失の事態が現実となった今,報道等を見る限り,3枠確保が何より最優先事項であるという意識を持っている人が,もしかして関係者の中にあまりいなかったのかな?と感じてしまいます。

 五輪の出場者選考が熾烈を極め,国内の争いで疲弊して,平昌五輪で力を出せずに終わる…これが最悪のシナリオです。日本女子の実力ならそんなものは乗り越えられる,などという精神論はあまりにも無責任です。日本スケート連盟が今回の事態に陥った責任を取るには,来シーズン,五輪に出場する2選手が,国内選考で疲弊することなく,五輪で最も実力を発揮できるような環境整備を本気で本腰で実施すること,これしかありません。正直なところ,今の動きを見る限りそんなことができるとは到底思えませんが,関係者の1人でも多くの方が,3枠喪失をもっともっと重大なこととして捉え,五輪に向けて選手のためにできることは何なのかを徹底的に考えて実践していただきたい,そう強く強く願ってやみません

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