マイクを持てば酔っぱらい

~カラオケをこよなく愛するITシステムエンジニアのブログ~

2019年04月

シングルCD売り上げランキングで平成を振り返る

 平成を振り返るランキングの中で欠かせないのは,シングル曲売り上げランキングでしょう。音楽ランキング最大手のオリコンは,1988年からレコード売り上げにCDを合算するようになり,翌年の1989年(平成元年)にはCDが売り上げの大半を占めるようになります。平成においては 楽曲売り上げ = CD売り上げ であり,CDの利便性の高さもあってレコード盤よりも多くの売り上げを記録し,多くの名曲が生まれました。では,そのオリコンが発表した,平成シングル曲売り上げトップ20をご覧ください。

順位曲名売上枚数
アーティスト最大ヒット時期
1世界に一つだけの花312.7 万枚
SMAP2003年(平成15年)4月
2TSUNAMI293.6 万枚
サザンオールスターズ2000年(平成12年)3月
3だんご3兄弟291.8 万枚
速水けんたろう,茂森あゆみ,ひまわりキッズ,だんご合唱団1999年(平成11年)3月
4君がいるだけで289.5 万枚
米米CLUB1992年(平成4年)6月
5SAY YES282.2 万枚
CHAGE & ASKA1991年(平成3年)9月
6Tomorrow never knows276.6 万枚
Mr.Children1994年(平成6年)12月
7ラブ・ストーリーは突然に258.8 万枚
小田和正1991年(平成3年)3月
8LOVE LOVE LOVE248.9 万枚
DREAMS COME TRUE1995年(平成7年)8月
9YAH YAH YAH241.9 万枚
CHAGE & ASKA1993年(平成5年)3月
10名もなき詩230.9 万枚
Mr.Children1996年(平成8年)3月
11桜坂229.9 万枚
福山雅治2000年(平成12年)5月
12CAN YOU CELEBRATE?229.6 万枚
安室奈美恵1997年(平成9年)3月
13DEPARTURES228.8 万枚
globe1996年(平成8年)2月
14WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント213.5 万枚
H Jungle with t1995年(平成7年)4月
15Automatic206.3 万枚
宇多田ヒカル1999年(平成11年)2月
16TRUE LOVE202.3 万枚
藤井フミヤ1993年(平成5年)12月
17愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない202.1 万枚
B'z1993年(平成5年)4月
18恋しさと せつなさと 心強さと202.1 万枚
篠原涼子 with t.komuro1994年(平成6年)9月
19愛は勝つ201.2 万枚
KAN1991年(平成3年)1月
20ロード199.7 万枚
THE 虎舞竜1993年(平成5年)3月

 ヒットしたかどうかはCD売り上げ以外にもいろいろな指標がありますが,このランキングに登場する楽曲は間違いなく平成の大ヒット曲と言えますね。では,これらの曲を時系列に見ていきます。1990年(平成2年),フジテレビ系バラエティー番組「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」の挿入歌となった「愛は勝つ」(KAN,19位)は,年末から火がつき年を越しても爆発的に売れ続けました。「おどるポンポコリン」に続き100万枚を大きく超えるヒットになったことで,レコード盤を明らかに上回るCDのセールスパワーが世間に認知されていきます。

 1991年(平成3年)1~3月クールのフジテレビ系月曜9時のドラマ,いわゆる「月9」で「東京ラブストーリー」が大ヒット。この主題歌である「ラブ・ストーリーは突然に」(小田和正,7位)が2月に発売されると,発売初週にあの「およげ!たいやきくん」が持っていた週間売り上げ枚数記録(72万枚)を塗り替える74万枚の売り上げを叩き出し,翌月3月には200万枚,いわゆるダブルミリオンに到達しました。その後の平成ダブルミリオン連発の先陣を切ったのです。

 その後「月9」は,同年7~9月クール「101回目のプロポーズ」から「SAY YES」(CHAGE&ASKA,5位),1992年(平成4年)4~6月クール「素顔のままで」から「君がいるだけで」(米米CLUB,4位)という「ラブ・ストーリーは突然に」超えのメガヒットを輩出。さらに,1993年(平成5年)10~12月クール「あすなろ白書」から「TRUE LOVE」(藤井フミヤ,16位),1996年(平成8年)1~3月クール「ピュア」から「名もなき詩」(Mr.Children,10位),1997年(平成9年)1~3月クール「バージンロード」から「CAN YOU CELEBRATE?」(安室奈美恵,12位)と,合計6曲が平成トップ20にランクインしました。改めて「月9」のドラマと主題歌のすごさがわかりますし,ドラマの名前や曲名から当時を思い出す方も多いのではないでしょうか。

 時系列を1993年(平成5年)に戻すと,三谷幸喜 脚本のフジテレビ系ドラマ「振り返れば奴がいる」の主題歌「YAH YAH YAH」(CHAGE&ASKA,9位),有線放送から大ヒットとなった「ロード」(THE 虎舞竜,20位),アーティストパワーが最高潮に達した「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」(B'z,17位)と,立て続けにメガヒットが生まれます。1994年(平成6年)に入ると,小室哲哉 プロデュースの「恋しさと せつなさと 心強さと」(篠原涼子 with t.komuro,18位)と,フジテレビ系ドラマ「若者のすべて」の主題歌「Tomorrow never knows」(Mr.Children,6位)が続きました。

 1995年(平成7年)はCDが最も売れた年と言われ,数多くの名曲が誕生したのですが,この年も 小室哲哉 プロデュースの「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント」(H Jungle with t,14位)と,TBSテレビ系ドラマ「愛していると言ってくれ」の主題歌「LOVE LOVE LOVE」(DREAMS COME TRUE,8位)という2曲のダブルミリオンが生まれました。翌1996年(平成8年)には 小室哲哉 自身が参加した「DEPARTURES」(globe,13位)が「JR SKI SKI」のCMタイアップ効果で大ヒットしました。

 1998年(平成10年)末,弱冠15歳にして J-POP R&Bに新風を吹き込んだ「Automatic」(宇多田ヒカル,15位)が現れると,昭和を代表する演歌歌手 藤圭子 の2世というプロフィールも追い風になり,翌1999年(平成11年)に入ってビッグヒットに。ちなみにこの頃,シングルCDは 8cm 版(縦長のパッケージ)から 12cm 版(アルバムと同じサイズで「マキシシングル」と呼ばれていた)に移行する過渡期で,この曲は両方のサイズが発売され,別々のCDとして売り上げ枚数や順位が集計されていました。ですから,掲載記事によっては200万枚も売れていないように記載されている記事もあると思いますが,今回紹介したランキングでは,8cm 版(売り上げ 77.2 万枚)と 12cm 版(売り上げ 129.1 万枚)の売り上げが合算されています。宇多田ヒカル は3月にアルバム『First Love』を発売し,アルバム売り上げ歴代1位となる 765 万枚という驚愕の売り上げを記録。音楽の枠を越えた社会現象になっていきました。

 1999年(平成11年)のもう1つの社会現象が,NHKテレビ「おかあさんといっしょ」で発表された「だんご3兄弟」(アーティスト名略,3位)。CDが入荷するとすぐに売り切れる状況がしばらく続き,子ども向けの歌としては「およげ!たいやきくん」以来の大ブームが巻き起こりました。上述した J-POP 歴代ビッグヒット曲でも到達しなかった 290 万枚の売り上げを記録したのです。

 2000年(平成12年)を迎えると,「TSUNAMI」(サザンオールスターズ,2位)と「桜坂」(福山雅治,11位)という2曲のダブルミリオンが誕生しますが,これらはTBSテレビ系バラエティ番組「ウンナンのホントコ!」の中の人気コーナー「未来日記」のテーマ曲でした。番組ではなくコーナーソングが大ヒットすることは異例であり,コーナーの人気と楽曲の完成度が非常に高かった証と言えるでしょう。特に「TSUNAMI」はサザン史上最高傑作を狙って作られたと言われる楽曲で,サザンの古参ファンも絶賛,若者にはサザンの実力が伝わり,サザン史上はもちろん,平成史上でも当時最高の売り上げを記録しました。CDの売り上げが下降傾向にあったこともあり,「TSUNAMI」を抜く曲は現れないだろうと思った方も多かったはずです。

 2003年(平成15年),槇原敬之 作詞・作曲のアルバム収録曲「世界に一つだけの花」(SMAP,1位)が評判を呼びシングルカットされると,「No.1 にならなくていい 元々特別な Only One」という歌詞のメッセージ性を,小室哲哉 プロデュースのグループ dos のメンバーを経て振付師となっていた KABA.ちゃんが手掛けた親しみやすいサビの振付に乗せて,既に国民的アイドルとなっていた SMAP が歌ったことで,現代の国民愛唱歌になりました。発売1年後の売り上げ枚数は250万枚強でしたが,2016年の SMAP 解散問題に端を発した購買運動によって,ついに「TSUNAMI」を上回る売り上げ 300 万枚の大台に到達したのでした。

 ここまでで平成CD売り上げトップ20が出尽くしました。平成の後半となる2004年(平成16年)以降,音楽を聴くスタイルがCDから配信に移ったことや,テレビの影響力低下などにより,CDの売り上げは減少傾向となりました。AKB48 が大ブレイクし売り上げを牽引しましたが,総選挙商法をもってしてもダブルミリオンには至りませんでした。このことからも,平成トップ20の売り上げがいかにすごいかがわかりますね。

 今度は,アーティストの観点からトップ20を見てみましょう。まず目立つのは,トップ10に2曲ずつ送り込んでいる CHAGE&ASKAMr.Children。ダブルミリオンを1曲輩出するだけでも驚異ですが,彼らは2曲ずつ生み出しており,平成CDバブルの恩恵を享受した2組と言えるでしょう。彼らをはじめトップ20のうちの14曲バンド,グループ,ユニット等ソロではない楽曲で占められています。H Jungle with t や 篠原涼子 with t.komuro は実質的にはソロですが,横に 小室哲哉 が居たことの効果は大きかったと思います。純粋なソロは6曲だけで,しかもそのうち 小田和正,安室奈美恵,藤井フミヤ はかつてグループのボーカルだったことを考えれば,ソロでメガヒットを出すことがいかに難しいかがわかります。その意味で 福山雅治,宇多田ヒカル,KAN は本当にすごいです。この3人は皆シンガーソングライターであり,自分で作った曲だからこそ多くの人に支持されたのでしょう。

 平成前半はなんといっても 小室哲哉 プロデュース全盛期でしたが,小室作品で最も売り上げが多いのは12位の「CAN YOU CELEBRATE?」。さらに13位,14位,18位と計4曲をトップ20に送り込んだのはさすがですが,平成トップ10には届きませんでした。様々なアーティストに楽曲提供を行った 小室 でしたが,初のダブルミリオンが,アーティストが本業ではない ダウンタウン・浜田雅功 に提供した「WOW WAR TONIGHT」なのは,ちょっと考えさせられる結果です。ただ,この曲は,歌詞が会社員に刺さる部分が多々あったり,音楽面ではジャングルというジャンルが浜ちゃんのボーカルに見事にマッチした,小室 史上の最高傑作だと私は思います。

 平成を代表する2大ユニットと言える,DREAMS COME TRUEB'z。DREAMS COME TRUE が順当にトップ10入りしているのに対し,B'z の17位は思ったほど上位ではないと感じる方も多いと思います。実は'90年代の B'z は,話題性の高いドラマや大型CMのタイアップがほとんどなかったのです。「愛のままにわがままに…」は日本テレビ系ドラマ「西遊記」の主題歌でしたが,これは'70年代に 堺正章 が孫悟空を演じたあの有名なドラマのリメイク版で,(連続ドラマではなく)単発ドラマでした。B'z が話題性の高いドラマに起用されたのは2000年になってからです(TBSテレビ系ドラマ「Beautiful Life」の主題歌「今夜月の見える丘に」)。'90年代に大型タイアップが付けば,トップ10に入る売り上げを残せたのではないかと思います。逆に言えば,大型タイアップなしでもダブルミリオンが出せるのは B'z のアーティストパワーの賜物と言えます。B'z は固定ファンの数が圧倒的で,大型タイアップがなくてもシングル曲が常にミリオンセラーになるのが B'z のすごいところで,売り上げ100万枚のシングル曲が15曲もあります。平成トップ20では17位に留まりましたが,B'z のすごさはこのランキングでは語れないものがあります。

 タイアップという視点で平成トップ20のランキングを見ると,ほとんどが話題のドラマやテレビ番組のタイアップ曲で占められています。タイアップは昭和の時代からヒットの方程式の1つではありますが,平成のタイアップの特徴は,力のあるアーティストに話題のタイアップが付き,アーティストパワーとタイアップパワーの相乗効果でメガヒットが生まれた,ということです。平成トップ20の中で,アーティストパワーが弱くタイアップパワーの恩恵が大きかったのは「だんご3兄弟」と「愛は勝つ」くらいで,タイアップパワーなしで楽曲の完成度でヒットした「Automatic」「ロード」を除く他の曲はどれも,既に十分な実力を備えるアーティストが,タイアップによってビッグヒットを生み出したのです。

 昭和の時代には,タイアップはアーティストが世に出るための手段として機能しており,タイアップはさほど有名でないアーティストに付くのが一般的でした。平成に入っても「おどるポンポコリン」や「愛は勝つ」あたりまではその流れが残っていましたが,1991年,小田和正 の「ラブ・ストーリーは突然に」がターニングポイントになったと言っていいでしょう。十分な実績あるアーティストが提供するクオリティの高いタイアップ曲が,ドラマの人気を決定的にする,さらには人気を押し上げるという現象が生まれました。その後の「SAY YES」「君がいるだけで」の大ヒットにより,この流れが加速したように思います。中には「どんなときも」の 槇原敬之 や「TOMORROW」の 岡本真夜 のように,タイアップがきっかけとなってアーティストとしての地位を確立した人たちもいましたが,昭和の頃よりもそういう人たちは少なくなり,平成では「アーティストとして力を付け大型タイアップを獲る」という図式が確立していったように思います。

 このようなビッグアーティストによるタイアップが,昭和の頃にはほとんどなかったダブルミリオンの連発を生み出した,と考えることもできます。レコード盤からCDに移行しディスクの扱いが簡単になったことが,売り上げ増加の主因と考える意見もありますが,プラットフォームが進化してもコンテンツが良くなければそこまで売れませんから,ビッグアーティストのタイアップというのは平成のCDマーケットのおける大きな特徴と考えてよいと思います。

 取り留めなく書き連ねてきましたが,総括すると,レコード盤からCDへの移行ビッグアーティストによるタイアップの増加,さらに電子楽器の進化に伴う楽曲のクオリティの向上,こういった要因が重なり,ビッグアーティストがダブルミリオン級のヒットを連発した結果が,このような平成シングルCD売り上げランキングとなって表れたと言えそうです。

 CD売り上げは平成の後半から,ジャニーズ,AKBグループ,坂道グループなど一部のアーティストが寡占し,さらに楽曲やPVの配信などCD以外に音楽が世間に認知される手段とその影響力が増大したことにより,CD売り上げランキングがヒットをうまく表せなくなってきています。令和の時代は,CD売り上げはランキングの主役ではなくなり,ヒットの指標として様々なランキングが参照される時代になることでしょう。

平成カラオケランキング DAM vs JOYSOUND 比較

 先日「平成カラオケランキング」としてカラオケ2大メーカーの DAM と JOYSOUND から発表されたものを本ブログに掲載しました。ランキングの集計期間は平成元年からではなく,DAM は平成6年(1994年)~,JOYSOUND は平成5年(1993年)~ なのですが,この頃からカラオケが爆発的に普及していったので,集計期間が多少欠けていても平成全体を表していると考えてよいと思います。DAM と JOYSOUND ではランキングが異なっていますので,ベスト30を横並びで見ることにより各メーカーの特徴を捉えつつ,平成のカラオケを振り返ろうと思います。

《凡例》 黄色フォント:他方より上位/同順位 茶色網掛け:一方のみランクイン

DAM順位JOYSOUND
ハナミズキ1残酷な天使のテーゼ
小さな恋のうた2ハナミズキ
残酷な天使のテーゼ3小さな恋のうた
天城越え4チェリー
チェリー5キセキ
世界に一つだけの花6未来予想図II
Story7サウダージ
キセキ8天体観測
I LOVE YOU9アゲハ蝶
涙そうそう10I LOVE YOU
DAM順位JOYSOUND
北の旅人11タッチ
TSUNAMI12シングルベッド
酒よ13TSUNAMI
北空港14fragile
居酒屋15そばかす
シングルベッド16世界に一つだけの花
純恋歌17天城越え
粉雪18粉雪
桜 (コブクロ)19愛唄
(ORANGE RANGE)20
DAM順位JOYSOUND
栄光の架橋21HOWEVER
奏 -かなで-22花 (ORANGE RANGE)
ふたりの大阪23CAN YOU CELEBRATE?
つぐない24栄光の架橋
未来予想図II25Story
タッチ26夏祭り
愛唄27奏 -かなで-
雪の華283月9日
29純恋歌
時の流れに身をまかせ30First Love

 ベスト3は両方とも同じ曲が入りました。「残酷な天使のテーゼ」が DAM では3位ですが JOYSOUND では1位になりました。スナック等の酒場に強い DAM と,カラオケルームが主戦場の JOYSOUND の違いがここに表れています。JOYSOUND は利用者の年代層が DAM より若く,アニメソング(アニソン)が多く歌われる傾向がありますので,アニソンの大名曲である「残酷な天使のテーゼ」が1位になるのは納得です。逆に言えば,DAM でも3位に入ったのですから,アニソンの中でも飛び抜けて多く歌われたということでしょう。

 「天城越え」は DAM の方が上位に来ており,ここにも酒場に強い DAM の傾向が表れています。JOYSOUND では17位となっていますが,それでも演歌では JOYSOUND ベスト30で唯一ランクインしていることは特筆すべきでしょう。DAM だけランクインしている曲に「北の旅人」「酒よ」や,テレサ・テンの「つぐない」「時の流れに身をまかせ」など演歌系が多いのは,さすが DAM だなぁと思います。演歌系の流れで言うと,「北空港」「居酒屋」「ふたりの大阪」とデュエット曲が3曲も入っているのは DAM ならではです(JOYSOUND はベスト50でも無し)。いずれも1980年代の楽曲ですが,平成でも歌われ続けたということは,この頃の楽曲がいかに親しまれているかを示していると言えるでしょう。

 演歌系ではない「世界に一つだけの花」「Story」「純恋歌」あたりは,なぜ DAM の方が上位なのかちょっと不思議な感じがしますよね。これらの曲は誰もが知っている有名な曲なので,職場などのカラオケで様々な世代が一緒に歌うような状況では,若い世代がみんなに分かる曲を選んで歌うのでは?と私は予想しています。逆に,上の世代の人が,若い世代でも分かる曲としてこれらの曲を歌っている可能性もありそうですね。

 JOYSOUND のランキングに目を移すと,DAM のベスト30に入っていない曲がベスト10に3曲もランクインしています。「天体観測」はなるほどという感じですが,ポルノグラフィティが「サウダージ」「アゲハ蝶」と2曲もベスト10に送り込んでいるのは,個人的にはやや意外な感じがしました。これら3曲はいずれも2000~2001年の楽曲で,この頃は主要な男性アーティストのヒットが一段落し,当時の男子高校生・大学生が歌える曲の代表がこの3曲だったのかもしれません。

 他に JOYSOUND だけにランクインしている曲を見ると,Every Little ThingJUDY AND MARYGLAY安室奈美恵宇多田ヒカルといった平成を代表するアーティストが並んでいて,その点では JOYSOUND の方が平成という時代をよく映していると言えるかなと思います。これらの中に Whiteberry の「夏祭り」が肩を並べているのはすごいです。オリジナルは平成初期のイカ天バンドブームで出てきた JITTERIN'JINN の楽曲ですが,カバーがオリジナルを遥かに凌駕し平成を代表するヒット曲になった稀有な例ですね。

 個人的におやっ?と思うのは「未来予想図II」でしょうか。むしろ DAM の方が上位に来てもよさそうな曲ですが,DAM の25位は思ったより下位で,JOYSOUND6位の方がこの曲に相応しい順位のように感じます。実はこの楽曲は,シングル曲ではなくアルバム収録曲なんですよね(後からシングルのカップリングで収録されていますが)。シングルではない曲がこれだけ歌われるって,とんでもないことだなぁと思います。

 アルバム収録曲となると,DAM と JOYSOUND の両方でベスト3に入った「小さな恋のうた」こそ,平成においてカラオケがヒットに最も強く影響した楽曲と言えるでしょう。このアルバムはCDのレンタル提供がされておらず,ネット配信もなかった時代ですから,CDを購入しないと音源が入手できず,しかもCDがインディーズ販売というハンデがある中で,カラオケでこれだけ歌われていることは驚異的であり,奇跡の1曲としか言いようがありません。カラオケで歌い継がれたり,後世の多くのアーティストにカバーされたりして,平成が終わる現在でも楽曲の存在感が増しているとさえ感じられます。

 こうやって平成のカラオケランキングを眺めると,CD売上や配信のランキングよりもこちらの方がヒット曲が並んでいる印象が強いと感じます。「ハナミズキ」「シングルベッド」「栄光の架橋」といった楽曲は,各曲が最もヒットした年の年間ヒットチャートベスト10にも入っていないのですが,大ヒット曲という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。「カラオケで多く歌われる曲は名曲である」 … これはカラオケ文化がもたらした平成ヒット曲の法則と言ってよさそうです。

宇野昌磨 またも 羽生結弦 を超えられず 【世界フィギュア2019感想:男子シングル】

 フィギュアスケートの世界選手権。表彰台を逃した 宇野昌磨 選手は,母国開催で期待に応えられなかった自分を責め,打ちひしがれたことでしょう。順位は気にしないという今までのスタンスを変え「優勝する」「周囲の期待に応える」と宣言して臨んだ今シーズン。四大陸選手権では,コンディションが良くない中でFS(Free Skating,フリースケーティング)の今季最高得点を上げ,良い流れで世界選手権を迎えました。しかし,宇野 選手を象徴するジャンプである 4F が,SP(Short Program,ショートプログラム)もFSも共にミスになり,全体的に精彩を欠く演技になってしまいました。

 ケガの快復が思わしくなく,練習が十分に積めない状況だったとはいえ,それでも試合を成り立たせる力は四大陸選手権で確立したはずでしたが,母国開催,羽生結弦 選手との勝負などの様々なプレミアム感が,宇野 選手の正確さや冷静さを奪ったのかもしれません。SPで先行すれば,FSが今シーズン比較的良かったので,ライバルにプレッシャーをかけられたのですが,SPで ネイサン・チェン 選手(米)に先行を許す展開になってしまい,FSが完璧でなければ,という状況に追い込まれてしまいました。追い込まれたとき強い選手もいますが,今大会の 宇野 選手はその強さを発揮できませんでした。

 周囲の期待に応えると宣言したものの実力を発揮し切れなかったとなると,結果論としてこのアプローチは 宇野 選手に合っていなかったのかもしれません。出場する大会に優勝したい気持ちはどの選手も持っているでしょう。しかしそれを言葉にすると,気持ちが不十分な場合,自分が発した言葉の大きさに気持ちが負けてしまうことがあります。さらに練習不十分という状況が重なれば,言葉・心・体がうまくかみ合わず,何かしっくりこないまま試合を迎えてしまったのかもしれません。宇野 選手は今,言葉を発することの難しさを痛感していることでしょう。

 羽生 選手の生き様に触発される気持ちはとてもよくわかりますが,やっぱり 宇野 選手は,表向き順位に興味がない顔をしながら,内に秘めた闘志をスケートに凝縮させる,という姿が似合っているように思います。様々な心の動きを自身の中に封じ込め「五輪は他の大会と変わらなかった」と言い放った姿こそ 宇野 選手らしさだなと思うんです。この姿に戻るにせよ,今シーズンの姿勢を今後も貫くにせよ,今回の経験で 宇野 選手は,自分の心と体の奥深くにある高いレベルの闘争心を呼び起こし,来シーズンさらなる覚醒を魅せてくれると期待しています。

 宇野 選手との直接対決で今回も上位になった 羽生結弦 選手は,いかにして言葉を発するか,ケガを抱えながらいかに最高のパフォーマンスを発揮するか,これらを 宇野 選手に身をもって示すかのようでした。これまでの 羽生 選手は,ケガ明け4ヶ月ぶりの実戦での五輪2連覇が記憶に新しいですが,それ以外にも,東日本大震災の被災経験6分間練習での衝突事故からの復活など,極めて難しい状況を何度も乗り越えており,言葉の発信の仕方,気持ちモチベーションの高め方,身体の状態の見極め試合本番への調整力,こういったスキルが常人離れしたレベルにあります。

 今大会も昨年の平昌五輪と似たような状況になりましたが,母国開催ということもあり,高い集中力を発揮しました。FS前日の公式練習で 4Lo がうまく決まらず,氷上練習の後リンクの脇でイメージトレーニングをするという珍しい光景が見られましたが,これも 羽生 選手の傑出した調整能力を示すものでした。羽生 選手は,FSで最も重要なのは冒頭の 4Lo だと考え,4Lo を必ず成功させるという点に注力していました。他のジャンプにも不安はあったはずですが,鍵は 4Lo にあるという見極めと,それを成功させるための調整法(今回はイメージトレーニング)が見事だなぁと感嘆させられました。

 実際のFSでは見事に 4Lo を成功させて波に乗り,4S が回転不足になったもののミスはこれだけで,4T+3A のシークエンスジャンプも決まり,FSの得点が 200 点,SPとのトータル300 点に到達しました。しかし,演技をよく見ると,ジャンプの間のつなぎの部分や,ステップなどは全力で実施していないように見え,ジャンプを揃えることを第一に考えていたように感じました。これもまた,コンディションが万全ではない中で,スコアを最大にするために何が大事かを考えた結果ではないかと考察します。例えば,FSのステップはレベル3にとどまり,レベル4に比べ(基礎点と GOE 加点の合計で) 0.8 点落としていますが,4回転ジャンプで少し着氷が乱れただけでも2~3点下がることを考えれば,ジャンプに注力することは現実的な判断なのです。こういう戦略を自分自身で徹底的に考え抜き,それを実行できることが 羽生 選手の強さの秘訣でもあります。

 結局,今大会のシングル日本選手で表彰台に乗ったのは 羽生 選手だけであり,大舞台での 羽生 選手の強さが改めて浮き彫りになりました。しかし,ケガ明けの難しさがあった半面,出場した試合数が少なく,疲労の蓄積に関しては他の選手と条件が同じではありません。他の日本選手は 羽生 選手も出場したグランプリシリーズ2戦の後,グランプリファイナル,全日本選手権,四大陸選手権という,いずれも緊張感の高い試合に出場しているのですから,シーズン終盤の世界選手権でミスが出てしまうのもやむを得ないことなのです。今大会の結果は,もったいないなぁと思う反面,それを責める気に全くなれないのは,日本選手がどの試合も全力で取り組んでいることを観てきたからです。

 羽生 選手が他の選手と同じ大会に出場した上でこの成績を残したのであればもっと喜べたはずで,今回の世界選手権の結果はやや複雑な気持ちで受け止めています。ただ,それは 羽生 選手が一番わかっていることであり,だからこそ優遇措置で出場した世界選手権で結果を残そうと,全力を尽くした結果でもあります。ただ,スポーツ選手はまず試合に出ることが最も大事であり,自分責任の負傷による欠場は問題ありなのです。私はこの点において,シニアデビュー以来,主要大会の欠場がない 宇野 選手は素晴らしいと思いますし,だからこそ,今大会は 宇野 選手が 羽生 選手より上位に来るという結果も得てほしかったのです。来シーズンはシーズンをフルに戦ってもらい,羽生 vs 宇野 の対決を何度も観たいものです。

 その 羽生 選手を完全に上回ったのが ネイサン・チェン 選手でした。4回転ジャンプの安定感は抜群で,4Lz と 4F を両方決めたのは チェン 選手だけでしたし,苦手の 3A でもかなりの GOE 加点を得ていました。身体や手先の動きに余裕が感じられ,ジャンプだけでなく演技全体の躍動感がすごかったです。羽生 選手のような滑らかでしなやかなスケーティングとは異なり,チェン 選手は力強さや躍動感がありながらも力みの少ないスケーティングで,今大会は間違いなく チェン 選手史上最高の演技でした。PCS (Program Component Score,演技構成点)も 羽生 選手に迫る得点が出ており,仮に 羽生 選手や 宇野 選手が完璧でも歯が立たない内容でしたから,チェン 選手の完勝でした。羽生 選手も 宇野 選手も,来シーズンは基礎点を上げるための対策を迫られるでしょう。

 チェン 選手は昨シーズンの世界選手権でも優勝していますが,これは五輪直後なので割り引いて考える必要があり,今シーズンの世界選手権制覇によって,真の世界王者になったと言えるでしょう。それでも今シーズンはルール改定直後だったこともあり,4回転を3種類4本にして様子見だったところがあります。今後は,現在 チェン 選手にしかできない4回転5種類に挑んでほしいと思います。

 ソチ五輪以降,挑戦を受ける立場だった 羽生 選手が,ついに追いかける立場になりましたが,これは 羽生 選手が待ち望んでいたことだったと思います。追う立場になった 羽生 選手が,今後 4F や 4Lz,そして夢の 4A をどう切り開いていくのか,それともケガによってさらに追い込まれてしまうのか,本当に目が離せません。そして,宇野 選手もその流れに追随しながら,羽生 選手や チェン 選手を追い越す機会を虎視眈々と伺う,これが来シーズンの展開になるでしょう。

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