マイクを持てば酔っぱらい

~カラオケをこよなく愛するITシステムエンジニアのブログ~

友野一希

樋口新葉,友野一希 大躍進! 【世界選手権2018感想】

 五輪直後のフィギュアスケート世界選手権は,わりと退屈な大会になるのがお約束でしたが,今年の世界選手権は違いました。スコアは低調でしたが,番狂わせやドラマがあって,良い大会だったなぁと思います。

HiguchiWakaba2018WC 女子シングルでは 樋口新葉 選手がSP(Short Program,ショートプログラム)でミスしたのを見て,またしても大舞台で力を発揮できない悪癖が出るのかととても心配でしたが,今回は乗り越えました。FS(Free Skating,フリースケーティング)の 樋口 選手は,躍動感が素晴らしかったです。FSの 145 点に驚きはありませんが,PCS(Program Component Score,演技構成点)が 70 点に乗ったのは,今後に向けて大きな収穫だったと思います。他の選手が振るわなかったことで2位となり,五輪直後のチャンスをうまく生かして世界選手権銀メダリストの称号を手に入れました。

 例年の五輪直後は休養などを取る選手が多く,世界選手権の出場選手のレベルが下がりがちですが,今年はそんなことはありませんでした。ケガを抱える メドベージェワ 選手と,元々五輪だけで世界選手権の代表になっていない 坂本花織 選手以外,五輪に出場した主要選手が揃いました。樋口 選手は五輪に出場していませんので,彼らと条件が同じではありませんが,樋口 選手は五輪代表落選から立ち直るという厳しい道を歩んできましたから,今回の成績は胸を張れますね。とはいえ,やっぱり五輪直後の世界選手権ですし,スコアは平凡。世界選手権銀メダリストの称号を自信に変えて,来季以降長くトップレベルに君臨してほしいと願っています。

 宮原知子 選手も見事に3位に入りました。回転不足があったり転倒があったりしましたが,最高の演技を魅せた平昌五輪の後ということを考えれば,大崩れしなかったのがすごいです。ケガ明けでシーズンに出遅れながらも,きっちり責任を果たした 宮原 選手に,スケートの神様が,平昌五輪で獲れなかったメダルをここで授けてくれたような,そんな気がしました。

TomonoKazuki 男子シングルは何といっても 友野一希 選手。代役の代役(羽生結弦 選手欠場,補欠の 無良崇人 選手引退)でベストスコアが 230 点台だった選手が,一気に 256 点まで伸ばしてなんと5位入賞! 来年の世界選手権(日本開催)の日本出場枠3枠確保に貢献しました。友野 選手は11月のNHK杯で良い演技をして,それ以来私も注目していました。彼は「やってやろう」という雰囲気があって,大舞台に強い感じがしますね。

 FSは,冒頭の 4S(4回転サルコウジャンプ)で着氷が乱れましたが,それでも +2T(ダブルトウループジャンプ)を付けて連続ジャンプにしたので,次の 4S が単独ジャンプで良くなり,これを決めたことで波に乗りました。もし冒頭の 4S に +2T を付けなかったら,次の 4S を連続ジャンプにしないといけないので失敗する可能性はかなり高かったと思います。なので冒頭に連続ジャンプを入れたのは良い判断だったと思います。さらに,友野 選手は 3A(トリプルアクセルジャンプ)が安定しているのが素晴らしかったです。3A は2本とも連続ジャンプで,しかも +3T と +2T+2Lo という難しい2つを両方 3A に付けるというのは,それだけ 3A に自信がある証です。今シーズンはシニアデビューの年で,ビギナーズラック的な面もあったと思いますが,上述のように技術面もしっかりしており,かつメンタルも強そうなので,来シーズン本格的にどこまで戦えるのか,とても楽しみです。

 宇野昌磨 選手は靴の調整に失敗して,さらに足を痛めた中で,それでも2位を獲るあたりは強いなぁと感じさせてくれる結果でした。4回転ジャンプで3回転倒して普通なら心が折れるところですが,最後の3つの連続ジャンプを全て成功させるあたりに,宇野 選手の真骨頂を観ました。男子シングルで平昌五輪と世界選手権で両方表彰台に乗ったのは 宇野 選手だけなので,この安定感は高く評価されていいと思います。しかし,思い返すと,グランプリファイナル,四大陸選手権,平昌五輪,世界選手権の4大会連続銀メダルなんですよね。五輪までの3大会は優勝のチャンスが十分にありましたし,今回の靴の調整失敗やケガも選手としては反省すべき点です。性格が弟キャラなのはよしとしても,成績まで弟キャラではもったいないです。来年の日本開催の世界選手権に優勝を取っておいた,そう信じたいと思います。

 ネイサン・チェン 選手(米)は,見事に平昌五輪の雪辱を果たしました。平昌五輪は本当に地獄だったと思いますし,五輪のFSで超絶演技をしても「あれはSP失敗で開き直ったからこそできた」という評価になってしまうので,SPとFSを両方揃えたい気持ちは人一倍強かったと思います。他の選手が転倒祭り状態の中,強いメンタリティーと技術で,FSで平昌五輪を超えるスコア 219 点を記録したことは,世界チャンピオンに値するものでした。ボーヤン・ジン 選手(金博洋,中国),ヴィンセント・ジョウ 選手(米),また女子シングルでは アリーナ・ザギトワ 選手(ロシア)らが大崩れし,五輪からコンディションを維持する難しさをまざまざと思い知らされた一方で,チェン 選手や 樋口新葉 選手のように悔しさがバネになり,結果を残した選手の強さには本当に感動しました。

 悔しさからの復活に涙,ケガに耐える演技に涙,大崩れに涙。五輪直後の,過酷でドラマティックな世界選手権でした。

友野 男子3枠目に急浮上【日本大会感想】

spnvLogo 本記事は,私がスポナビブログ(2018年1月末閉鎖)に出稿した記事と同じ内容です


 羽生結弦 選手の直前欠場は,これが五輪でなくて良かったと前向きに捉えようとする方が多いと思いますが,私は最悪のタイミングのケガだと感じます。NHK杯の観客をガッカリさせ,欠員補充で他の選手にチャンスを授けることもできず,ファイナル5連覇の偉業を達成できず,五輪への調整にも当然影響が出ます。私は 羽生 選手の五輪2連覇は確実と当ブログに書きましたが,それはケガなしが前提であり,ケガをしてしまった今となっては五輪連覇は黄信号と言わざるを得ません。こういう逆境に強い 羽生 選手なので,やってくれるだろうという思いはありつつも,過大な期待をせずに辛抱強く見守りたいと思います。

 羽生 選手の欠場で優勝確実だったにもかかわらず,それがかえって演技を難しくしたのか,表彰台さえも逃してしまった ジェイソン・ブラウン 選手(米)。最近 3A(トリプルアクセルジャンプ)は安定していたのですが,今大会のFS(Free Skating,フリースケーティング)では2本とも乱れました。4回転が1本入るかどうかの ブラウン 選手にとって,3A は生命線ですので,もっと精度を高めてほしいです。羽生 選手へのメッセージを得意の日本語で書いてくれた心優しき ブラウン 選手には,ぜひグランプリファイナルに出場して再度来日してほしいですが,他の選手次第でありどうなるでしょうか。

 優勝したのは,なんと出場者最年長の セルゲイ・ボロノフ 選手(ロシア)。ジャンプが絶好調で,無駄な力を使わずに高く跳躍し,余裕をもって着氷する美しいジャンプを連発していました。このジャンプの好調を維持できれば,ロシア五輪代表の2枠目に入ると思います。30歳でこのように活躍できることが本当に素晴らしいですね。

 2位:リッポン 選手(米),3位:ビチェンコ 選手(イスラエル)と,表彰台に乗ったのが出場者の年長者3人(30,29,28歳)というベテラン健在な結果となりました。4Lz(4回転ルッツジャンプ)にいち早く挑戦していた リッポン 選手の 4Lz は,3回転と間違えそうになるほど回転がゆっくりで優雅な雰囲気があり,他の選手の 4Lz と一味違いますね。リッポン 選手は,ファイナル進出も米国代表入りも当落線上にいるので緊張感が続きますが,それが 4Lz の完成度を上げることになるでしょう。

 村上大介 選手の肺炎で代理出場となった 友野一希 選手は,国内大会からの連闘とは思えないほど躍動していましたね。表現しようという気持ちが前面に出ていましたし,3A が得点源になりスコアも出ました。正直なところ,田中刑事,無良崇人 両選手がパッとせず,しかも若さ溢れる楽しいプログラムに仕上がっているので,私は代表3人目に 友野 選手を推そうと決めました(笑)。

 宮原知子 選手は,復帰戦ということを考えれば申し分ない出来で,特に表現面では以前よりもさらに柔らかく自然な上半身の動きが増え,作り込んだ表現というよりは,あふれ出る表現になっていたと思います。しかし,いきなりのトップギアとはならず,5位に終わったのでファイナル進出はないでしょう。実戦が減るのは痛いですが,ファイナル出場なら全日本選手権まで3戦連続で中1週というハードスケジュールだったので,全日本選手権の前に中3週空くのは調整にはプラスと考えたいです。

 本郷理華 選手は,前回のカナダ大会より洗練されてきましたが,ジャンプの回転不足がまだ残っていますね。演目は本当に素晴らしいですし,ステップはとても躍動感が出てきましたので,全日本選手権ではクリーンなジャンプで勝負してほしいです。

 白岩優奈 選手は,テレビ画面でもはっきりとわかるほど緊張していましたね。他のシニアデビュー組である 坂本花織,本田真凛 の両選手もそうでしたが,演技そのものは十分にシニアでやれる力を持っていても,メンタル面では「怖いもの知らずで突き進む」という舞台度胸が発揮できなかったようです。それでも,白岩 選手は地元である大阪のNHK杯でシニアデビューを飾れたので,良い経験になったと思います。

 メドベージェワ 選手(ロシア)が,FSでは珍しく,しかも冒頭のジャンプで転倒しました。2回目のジャンプも乱れ,大崩れするのか…と少し心配しましたが,後半は立て直しました。ロシア大会でもFSでジャンプ転倒があり,今季のFSは完全な演技ができていません。五輪シーズンの重圧は確実に彼女にものしかかっています。現時点では,1ミスでは誰も追いつけませんが,他の選手がレベルを上げて「1ミスだと負けるかもしれない」という状況を作れば,そのプレッシャーから メドベージェワ 選手と言えどもミスの確率が高まるかもしれません。

 ロシア大会で2位だったものの,その完成度が維持できるのか私が確信できなかった カロリーナ・コストナー 選手(イタリア)ですが,今季の完成度は本物ですね。3位以下なら 樋口新葉 選手のファイナル出場がグッと近づいたのですが,2位をキープし コストナー 選手が先にファイナル出場を決めました。スケーティングや全体の完成度が今季は特に研ぎ澄まされ,トップ選手の多くが10代の中,成熟した存在感でこれぞフィギュアスケートという演技を魅せてくれると思います。

 ようやく本格シニアデビューを果たした ポリーナ・ツルスカヤ 選手(ロシア)は,いきなりのトータル210点で表彰台に乗りました。本田真凛 選手が世界ジュニアチャンピオンになった大会で,FS直前でケガをする不運に見舞われ棄権しましたが,ケガがなければチャンピオンの大本命だった,その実力どおりの演技でした。私も久しぶりに観ましたが,ジャンプの幅と高さが非常に大きく,身体の大きさを生かしたスケールの大きい演技が圧巻でした。メドベージェワ,ザギトワ 両選手と同じ,エテリ・トゥトベリーゼ コーチなので技術もしっかりしており,今大会の印象からすると,ロシア女子の3枠を同コーチ門下の3選手で占めてしまうことも十分にあり得ると感じました。

 比較的穏やかな大会となるはずが,羽生 選手負傷,ブラウン 選手や 宮原 選手が表彰台に乗らないなど,ドラマの多い大会となりました。日本勢にとって厳しい大会になってしまいましたが,友野 選手の今後がとても楽しみになったことが収穫でした。

タグ絞り込み検索
記事検索
プロフィール

まっく・けぃ(Mak....

  • ライブドアブログ