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白岩優奈

どうなる?女子シングル五輪代表2枠

spnvLogo 本記事は,私がスポナビブログ(2018年1月末閉鎖)に出稿した記事と同じ内容です。


 もうすぐ開催される全日本選手権の結果によって,平昌五輪の代表が決まります。注目はなんといっても,2枠しかない女子シングルがどうなるかでしょう。ありとあらゆるメディアで報じられていることではありますが,改めて選考基準を確認しましょう。

女子シングル選考基準
 下記①の1名。②~⑥から1名。計2名。
  ① 全日本選手権の優勝者
  ② 全日本選手権2位・3位
  ③ グランプリファイナル出場者上位2名
  ④ ワールドスタンディング上位3名
  ⑤ シーズンワールドランキング上位3名
  ⑥ シーズンベストスコア上位3名

 現時点で選考基準を満たす選手は③~⑥の該当者であり,坂本花織,樋口新葉,本郷理華,宮原知子 の各選手(五十音順)です。ここに,全日本選手権の2位と3位の選手を加えて2人目を選考することになります。

 2人目がどう選考されるかを考えてみますと,実際には,全日本選手権の2位か3位のどちらかが代表入りすることになると思います。4位以下が代表に入る可能性を考えると,以下のいずれかしかないと私は考えます。

  • [A] 上述の4選手に,白岩優奈,本田真凛,三原舞依 の各選手を加えた計7名の有力選手が誰も2位・3位に入らなかった場合
  • [B] 宮原 選手が2位と僅差で4位に入った場合
 宮原 選手は,全日本選手権を3連覇するなど過去3シーズン安定した成績を残し,今シーズンもケガ明けながら完全復調したので,2位に見劣りしない内容であれば代表入りすると思います。宮原 選手は実力も経験も,他の選手より明らかに上ですので,そのような選考をされても他の選手もみな納得するでしょう。逆に言えば,宮原 以外の選手(坂本,樋口,本郷)が4位以下になった場合,2位か3位ではなくその選手を代表入りさせるのは,選考理由が示せないと思います。樋口 選手は4位なら可能性がないとは言えませんが,大舞台に弱い上に全日本選手権でも表彰台を逃すとなれば,代表入りの理由が示しづらいでしょう。ゆえに,宮原 選手以外は,全日本選手権の表彰台が最低限の条件になると思います。

 上記[A]が現実に起こるとは思えません。そこで,全日本選手権の2位と3位から代表が決まると考えた場合に,有力7選手の組み合わせによってどのような選考が行われるかを予想してみます。2位が下表の縦軸の選手,3位が下表の横軸の選手になった場合,どちらが代表に選出されるかを私が予想した表を示します。

2位 \3位宮原樋口三原坂本本郷白岩本田
宮原知子--宮原宮原宮原宮原宮原宮原
樋口新葉宮原--樋口樋口樋口樋口樋口
三原舞依宮原??--三原三原三原三原
坂本花織宮原????--坂本坂本坂本
本郷理華宮原樋口三原??--本郷本郷
白岩優奈宮原樋口三原坂本??--白岩
本田真凛宮原樋口三原坂本??本田--

 表内の??は,どちらが選ばれるか予想がつかないことを意味します。一番悩ましいことになりそうなのは,下記の2ケースだと思います。

【2位:三原,3位:樋口

 2人ともシニアに上がって2年目。昨季の成績は 三原 が上,今季の成績は 樋口 が上ですが,以下の理由により,全日本選手権で上位になれば 三原 選手を推す意見が出そうです。

  • グランプリファイナルで 樋口 選手が(昨季の四大陸選手権と世界選手権に続き,三たび)大舞台の弱さを見せてしまった
  • 平昌五輪のリンクで開催された昨季の四大陸選手権で優勝した 三原 選手は,五輪のリンクと相性が良いと考えられる
  • 代表枠が2枠になってしまった昨季の世界選手権の成績は 三原 選手の方が上位である
  • 三原 選手の昨シーズン後半の安定感(シーズン前半よりスコアを伸ばした)

 世界選手権の成績に関しては多分に心情的な問題ですが,五輪の枠を減らす原因になった選手が五輪代表になり,3枠の可能性を残す好成績を上げた選手が代表になれないのは,なんだか腑に落ちないという声が出ても不思議ではありません。2人目は選考基準を満たした選手の中から「総合的に」判断することになっているので,上述の理由も加味されてよいことになります。一方で,樋口 選手の側に立つと,今季のハイレベルな成績は見事で,これを評価する声も当然あるでしょう。この状況では,選考する側はとても難しい判断を迫られます。

【2位:坂本,3位:三原

 同じコーチに指導を受ける同門生である2人が1つの椅子を争う状況は,胸が締め付けられる思いがいたします。しかしこれは,坂本 選手の成長によるものなので,喜ばしいことでもあります。今季の成績だけ見れば,グランプリシリーズ2戦平均スコア以外,全ての面で 坂本 選手が上回っていますので,坂本 選手が選ばれても全く異論はないところです。

 しかし 三原 選手は,昨季の五輪プレシーズンという非常に濃密な経験をしながら好成績を修めました。五輪という大きな重圧がかかる大会は,今季シニアデビューの 坂本 選手では心許なく,昨季の経験と実績がある 三原 選手の方が代表に相応しいという声が上がることと思います。先輩である 三原 選手が出場するのなら,坂本 選手としては譲りがいがあるというものでしょう。このケースも,選考する側にとってはなかなか悩ましいのではないかと思います。


 以下,代表選考に関する個人的な考えですが,シニアデビューの選手に五輪を託すのは,2枠という状況においてはあまりにも荷が重いと考えます。全日本選手権の優勝もしくは圧倒的な成績がない限り,代表に選ぶべきではないでしょう。この考えだと,樋口,本郷,三原,宮原 の各選手(五十音順)が代表候補になります。

 そして例年,代表選考においてはっきりしていないと感じるのは,代表は「好成績の選手」を選ぶのか「メダルを狙える選手」を選ぶのかという問題です。前者であれば,上述の4選手は誰でも相応しいと思いますが,後者であれば,宮原 選手以外はやや心許ない部分があると思います。その中でも,樋口 選手と 三原 選手のどちらを選ぶかとなれば,上述の理由により,個人的には 三原 選手を選ぶべきだと考えます。さて,はたして実際の選考はどうなるのでしょうか。私たちは見守るしかありません。

 ここからは,女子シングル有力選手の見どころをご紹介いたします。上表に記載した7名の有力選手を,表の記載順に紹介していきます。

宮原知子 選手】

 ケガ明けの心配はもうないと考えていいと思います。休養期間中にいろいろなものを吸収したことが奏功して,表現力に磨きがかかってきました。以前は振付の型どおりといった印象もありましたが,今季は表現したくて表現しているという雰囲気に満ち溢れています。グランプリファイナルでは,ジャンプの回転不足でスコアが伸びず5位に終わりましたが,メドベージェワ 選手(ロシア)欠場による繰り上げ出場でしたし,全日本選手権も控えていたことから,全力で臨まなかったと思われます。それでもスコアが213点でしたから,全てが完璧なら220~223点くらいは期待できると思います。

 SP(Short Program,ショートプログラム)の「SAYURI」,FS(Free Skating,フリースケーティング)の「蝶々夫人」,共に日本の凛とした女性を演じるという 宮原 選手にしか出せない世界観が素晴らしいプログラムです。ケガという辛い時期を乗り越えた 宮原 選手自身の道のりがプログラムの物語に重なって見えるのもグッとくるポイントです。初めから終わりまで,指先,目線,足先に至る全ての動きを堪能してほしいです。

 今季は,ケガ明け初戦から,NHK杯(日本大会)→アメリカ大会→ファイナル→全日本選手権 の4大会が全て中1週(2週間おき)のスケジュールなので,疲労の蓄積が全日本選手権の大事なときに出ないことを祈るばかりです。今まで3連覇していますので,五輪シーズンにこそ優勝して4連覇しなければ…という自身の内なる重圧とも戦うことになるでしょう。

 現実問題として,平昌五輪でメダル争いに自力で加われる日本選手は 宮原 選手だけです。その意味でも,全日本選手権をとにかく乗り切ってほしい,そう願う関係者は多いのではないでしょうか。

樋口新葉 選手】

 昨季の悔しさをバネにして,今季は目標だったファイナル出場を果たし,成長を見せてくれています。スケーティングに一段と力強さが増し,芸術性も増してきたことで,PCS(Program Component Score,演技構成点)の点数も上がってきました。プログラムのSP「ジプシーダンス」,FS「007・スカイフォール」共に,樋口 選手のスピード感や力強さが存分に生かされたプログラムで,十分に世界で勝負できるものになっていると思います。

 ただ,大舞台での弱さがまだ克服できていません。今季の調子ならファイナルでも表彰台が射程圏内でしたが,ミスが出てしまいました。今まで全日本選手権にはめっぽう強く,3年連続で表彰台に乗っていますが,五輪代表がかかる今年,今までと同じように良い演技ができるかどうかが問われます。

 現在の日本のフィギュアスケート界は,関西や名古屋のチームが強いですが,樋口 選手には東京代表として風穴を開けてほしい気持ちが個人的にあります。小さい身体で頑張る姿に,私はブログで時折厳しい言葉をかけてきましたが,それも心底応援していることの表れなのです。代表に選ばれた暁には,平昌五輪でこそ大舞台での弱さを克服して輝く姿を観たいと願っています。

三原舞依 選手】

 今季はグランプリシリーズ2戦とも200点を超え,シリーズ平均スコアのランキングは全選手中6位。常に完成度が高く安定感があるのが 三原 選手の最大の特徴です。特にFSのプログラム「ガブリエルのオーボエ」は,三原 選手の柔らかいスケーティングを生かした見事なプログラムで,三原 選手に本当によくフィットしていますので,完璧に演技できればトップスコアも期待できます。

 これだけ安定したスコアを出しながら,シリーズでは対戦カードに恵まれず2大会とも4位に終わり,ファイナルにも進出できず,世界ランキング等のポイントも伸びませんでした。そのため,冒頭の選考基準の③~⑥を満たすことができず,全日本選手権の表彰台が代表入りの絶対条件となります。本人は優勝しないと五輪に出場できない,くらいの気持ちで挑んでくると思いますが,その重圧に打ち勝つには,シリーズで完璧な演技ができなかったSP「リベルタンゴ」を完璧にできるかどうかが鍵になります。タンゴは 三原 選手の持ち味に合うとは言えないジャンルですが,最後に出場した大会から1ヶ月以上空きましたので,どこまで完成度を上げられたかに注目したいです。

 上述した 三原 選手の昨季の実績から考えると,三原 選手が平昌五輪の代表になるべきだと私は思っています。特に,昨季の四大陸選手権を優勝したことは,平昌五輪本番の会場と相性が良いという点で大きな意味があると思います。そのためにも,全日本選手権で優勝して,五輪代表の座をつかみとってほしいと切望しています。

坂本花織 選手】

 シニアデビュー組の中ではいち早くスコアを210点に乗せました。特にFS「アメリ」が秀逸なプログラムで,(アメリカ大会の感想を書いた自分のブログから引用しますが)ジャンプの質,ステップの最中にまで表現される細かいパントマイム,音楽とスケーティングの融合,全てがうまくハマったこの「アメリ」が持つ雰囲気は最高です。ジャンプの高さと幅が圧巻で,それでいて細かい表現力も持ち合わせる総合力の高さが持ち味です。また,リンク内外で明るく振る舞えることも魅力です。坂本 選手ならシニア1年目でも五輪の重圧に耐えられるかも…と思わせる雰囲気を持っている選手です。

 ただ,アメリカ大会は,前の大会から中4週空いていましたので,十分な調整ができる良いタイミングだったと言えます。他のシニアデビュー組の 本田真凛,白岩優奈 はどちらもグランプリシリーズが連闘(2週連続出場)という不利なスケジュールだったので,2戦目もスコアが伸びませんでしたが,坂本 選手と同様のスケジュールなら,彼らももっとスコアが伸びていた可能性はあります。アメリカ大会の好成績により,全日本選手権でこれを超えなければと自分自身で重圧をかけてしまう恐れもあります。

 頑張れば頑張るほど,同門生である 三原 選手と争うことになる難しさはありますが,切磋琢磨して素晴らしい演技ができれば,2人で平昌五輪出場という可能性もゼロではありません。シニア1年目での五輪出場が難しいことは選手本人が一番よくわかっていると思いますので,五輪を意識せずに無欲で臨めれば,サプライズが起きるかもしれません。

本郷理華 選手】

 初めて全日本選手権で観たとき,それまでの日本選手にはあまりいなかった,スケールの大きな演技に私は魅了され,それからずっと応援してきました。五輪プレシーズンの昨季に調子を崩し,今季少し持ち直してはいますが,調子の波が五輪にうまく合わないのは不運ですね。それでも,一昨季の活躍もあり,世界ランキング(ワールドスタンディング)は現在も9位に位置しています。特にSP「カルミナ・ブラーナ」は,日本選手では 本郷 選手にしかできないスケールの大きなプログラムで,とても見応えがあります。

 昨季,同門の先輩である 鈴木明子 さん振付のプログラムに挑戦しましたが,消化不良に陥ってしまいました。表現力やスケーティングの面でもう一段高いレベルに上る過程で壁に当たっている印象があります。また,長年指導を受けていた 長久保 コーチが突如退任する事態となり,周囲が落ち着かない状態になっているかと思います。そういった困難を乗り越え,開き直った演技ができるかが注目点です。

 本郷 選手はソチ五輪後の4年間を支えた選手の1人ですので,平昌五輪に出るべき存在だと思います。自身の成長より周囲のレベルアップが激しく,簡単な状況ではありませんが,4年間の集大成を魅せてほしいと願っています。

白岩優奈 選手】

 シニアデビュー組の中で個人的には一推しの選手です。演技全体に安定感があり,ふんわりした雰囲気が癒しを与えてくれるような存在で,これぞ女子スケーターという感じがします。レベル面では,他のシニアデビュー組とも対等に戦えるだけの実力を備えていますので,完璧な演技ができれば,他の選手次第で全日本選手権の表彰台も十分に可能性があります。

 ただ,坂本 選手はスケール感と明るい性格,本田 選手は芸術性とスター性という個性がはっきりしているのに対し,白岩 選手の個性はまだ前面に出てきていないかなと感じます。技術がしっかりしているので,経験を重ねれば自ずと個性がにじみ出てくるのではないかと思いますし,ちょうど北京五輪の頃に全盛期を迎えるような気がしています。

本田真凛 選手】

 グランプリシリーズは序盤の第2・3戦に割り当てられたこともあり,スコアがさほど伸びませんでしたが,ポテンシャルの高さは誰もが知るところです。また,ジュニア時代には大舞台の強さもありましたので,全日本選手権にきっちり照準を合わせてくるのではないかと思います。前の大会から1ヶ月半も空きますので,調整も十分できるでしょう。優勝だけを狙って,抜群の集中力と大舞台の強さを発揮できれば,手ごわい存在であることは確かです。

 逆に言えば,優勝以外はどの順位でも同じという考えで臨むと,1つミスが出た段階で集中力が切れ,ミスの連鎖になる可能性もあります。五輪代表争いを意識し過ぎず,とにかく最善を尽くすという無心で臨めるかどうかが鍵になるでしょう。


 ソチ五輪後を支えた 宮原,本郷。昨季シニアデビューの 樋口,三原。今季シニアデビューの 坂本,白岩,本田。これだけの逸材の中から2名しか平昌五輪に出場できないのは本当にもったいないですが,とにかく全日本選手権でベストな演技が披露され,その中から代表が選ばれてほしいと願っています。どんなドラマが生まれるか,しっかり見届けたいと思います。

友野 男子3枠目に急浮上【日本大会感想】

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 羽生結弦 選手の直前欠場は,これが五輪でなくて良かったと前向きに捉えようとする方が多いと思いますが,私は最悪のタイミングのケガだと感じます。NHK杯の観客をガッカリさせ,欠員補充で他の選手にチャンスを授けることもできず,ファイナル5連覇の偉業を達成できず,五輪への調整にも当然影響が出ます。私は 羽生 選手の五輪2連覇は確実と当ブログに書きましたが,それはケガなしが前提であり,ケガをしてしまった今となっては五輪連覇は黄信号と言わざるを得ません。こういう逆境に強い 羽生 選手なので,やってくれるだろうという思いはありつつも,過大な期待をせずに辛抱強く見守りたいと思います。

 羽生 選手の欠場で優勝確実だったにもかかわらず,それがかえって演技を難しくしたのか,表彰台さえも逃してしまった ジェイソン・ブラウン 選手(米)。最近 3A(トリプルアクセルジャンプ)は安定していたのですが,今大会のFS(Free Skating,フリースケーティング)では2本とも乱れました。4回転が1本入るかどうかの ブラウン 選手にとって,3A は生命線ですので,もっと精度を高めてほしいです。羽生 選手へのメッセージを得意の日本語で書いてくれた心優しき ブラウン 選手には,ぜひグランプリファイナルに出場して再度来日してほしいですが,他の選手次第でありどうなるでしょうか。

 優勝したのは,なんと出場者最年長の セルゲイ・ボロノフ 選手(ロシア)。ジャンプが絶好調で,無駄な力を使わずに高く跳躍し,余裕をもって着氷する美しいジャンプを連発していました。このジャンプの好調を維持できれば,ロシア五輪代表の2枠目に入ると思います。30歳でこのように活躍できることが本当に素晴らしいですね。

 2位:リッポン 選手(米),3位:ビチェンコ 選手(イスラエル)と,表彰台に乗ったのが出場者の年長者3人(30,29,28歳)というベテラン健在な結果となりました。4Lz(4回転ルッツジャンプ)にいち早く挑戦していた リッポン 選手の 4Lz は,3回転と間違えそうになるほど回転がゆっくりで優雅な雰囲気があり,他の選手の 4Lz と一味違いますね。リッポン 選手は,ファイナル進出も米国代表入りも当落線上にいるので緊張感が続きますが,それが 4Lz の完成度を上げることになるでしょう。

 村上大介 選手の肺炎で代理出場となった 友野一希 選手は,国内大会からの連闘とは思えないほど躍動していましたね。表現しようという気持ちが前面に出ていましたし,3A が得点源になりスコアも出ました。正直なところ,田中刑事,無良崇人 両選手がパッとせず,しかも若さ溢れる楽しいプログラムに仕上がっているので,私は代表3人目に 友野 選手を推そうと決めました(笑)。

 宮原知子 選手は,復帰戦ということを考えれば申し分ない出来で,特に表現面では以前よりもさらに柔らかく自然な上半身の動きが増え,作り込んだ表現というよりは,あふれ出る表現になっていたと思います。しかし,いきなりのトップギアとはならず,5位に終わったのでファイナル進出はないでしょう。実戦が減るのは痛いですが,ファイナル出場なら全日本選手権まで3戦連続で中1週というハードスケジュールだったので,全日本選手権の前に中3週空くのは調整にはプラスと考えたいです。

 本郷理華 選手は,前回のカナダ大会より洗練されてきましたが,ジャンプの回転不足がまだ残っていますね。演目は本当に素晴らしいですし,ステップはとても躍動感が出てきましたので,全日本選手権ではクリーンなジャンプで勝負してほしいです。

 白岩優奈 選手は,テレビ画面でもはっきりとわかるほど緊張していましたね。他のシニアデビュー組である 坂本花織,本田真凛 の両選手もそうでしたが,演技そのものは十分にシニアでやれる力を持っていても,メンタル面では「怖いもの知らずで突き進む」という舞台度胸が発揮できなかったようです。それでも,白岩 選手は地元である大阪のNHK杯でシニアデビューを飾れたので,良い経験になったと思います。

 メドベージェワ 選手(ロシア)が,FSでは珍しく,しかも冒頭のジャンプで転倒しました。2回目のジャンプも乱れ,大崩れするのか…と少し心配しましたが,後半は立て直しました。ロシア大会でもFSでジャンプ転倒があり,今季のFSは完全な演技ができていません。五輪シーズンの重圧は確実に彼女にものしかかっています。現時点では,1ミスでは誰も追いつけませんが,他の選手がレベルを上げて「1ミスだと負けるかもしれない」という状況を作れば,そのプレッシャーから メドベージェワ 選手と言えどもミスの確率が高まるかもしれません。

 ロシア大会で2位だったものの,その完成度が維持できるのか私が確信できなかった カロリーナ・コストナー 選手(イタリア)ですが,今季の完成度は本物ですね。3位以下なら 樋口新葉 選手のファイナル出場がグッと近づいたのですが,2位をキープし コストナー 選手が先にファイナル出場を決めました。スケーティングや全体の完成度が今季は特に研ぎ澄まされ,トップ選手の多くが10代の中,成熟した存在感でこれぞフィギュアスケートという演技を魅せてくれると思います。

 ようやく本格シニアデビューを果たした ポリーナ・ツルスカヤ 選手(ロシア)は,いきなりのトータル210点で表彰台に乗りました。本田真凛 選手が世界ジュニアチャンピオンになった大会で,FS直前でケガをする不運に見舞われ棄権しましたが,ケガがなければチャンピオンの大本命だった,その実力どおりの演技でした。私も久しぶりに観ましたが,ジャンプの幅と高さが非常に大きく,身体の大きさを生かしたスケールの大きい演技が圧巻でした。メドベージェワ,ザギトワ 両選手と同じ,エテリ・トゥトベリーゼ コーチなので技術もしっかりしており,今大会の印象からすると,ロシア女子の3枠を同コーチ門下の3選手で占めてしまうことも十分にあり得ると感じました。

 比較的穏やかな大会となるはずが,羽生 選手負傷,ブラウン 選手や 宮原 選手が表彰台に乗らないなど,ドラマの多い大会となりました。日本勢にとって厳しい大会になってしまいましたが,友野 選手の今後がとても楽しみになったことが収穫でした。

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